ADC5の機械的性質、比重、成分、熱伝導率など|アルミダイカストの特徴
アルミダイカストとしては耐食性に特化したタイプで、マグネシウムをベースにしたAl-Mg系のアルミ合金です。アルミ合金ダイカストの中では最も耐食性に優れます。
ADC5の特徴
耐食性が非常によい反面、鋳造性がよくないため、複雑な形状の製品には不適当とされます。機械的性質としては、伸びや衝撃値は良好なパラメータを持つので、強度が必要な場合も検討対象となります。
適度の強度と高い伸びを持つほかは、鋳造性や電気めっき性、気密性や高温での強度など他のパラメータはかなり劣ってしまうため、形状の簡単な製品などでの適用事例がよく見られます。類似のものとしては518.0があります。
用途としては船外機のプロペラ、シリンダー、インペラーといった構成部品、構成要素に使われる他、農機具の振動アームやつめ押え板、植付けアームにも使用されます。他、釣具でのベールアームレバーやクリック、スプールといった部品に使われることがあります。耐食性を見込んだ用途が散見されます。
ADC5の比重
ADC5の比重は2.57となります。
ADC5の成分、組成、材質
種類 | 成分 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Cu | Si | Mg | Zn | Fe | Mn | Cr | Ni | Sn | Pb | Ti | Al | |
ADC5 | 0.2以下 | 0.3以下 | 4.0から8.5 | 0.1以下 | 1.8以下 | 0.3以下 | - | 0.1以下 | 0.1以下 | 0.10以下 | 0.20以下 | 残部 |
ADC5の機械的性質|引張強さ、伸び、耐力、衝撃強さ、せん断強さ、硬さ
種類 | ADC5 |
---|---|
縦弾性係数(ヤング率) GPa |
- |
引張強さ MPa |
280 |
耐力(0.2%変形) MPa |
190 |
伸び(50mmでの) % |
5 |
衝撃強さ kJ/m2 |
202 |
せん断強さ MPa |
200 |
疲れ強さ MPa |
140 |
硬度 HRB |
40 |
ADC5の熱的性質、電気的性質|比熱、熱伝導率、熱膨張係数、凝固温度、電気伝導率
比熱 J/(kg・K) |
- |
---|---|
熱伝導率 W/(m・K) |
96 |
電気伝導率(銅基準) % |
24 |
熱膨張係数(293から473K) |
25x10-6/K |
凝固温度 ℃ |
639から534 |
アルミダイカストの一覧|JIS規格
スポンサーリンク
>このページ「ADC5の機械的性質、比重、成分、熱伝導率など|アルミダイカストの特徴」の先頭へ
- 加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
- アルミダイカスト(ADC材)の成分と種類、特徴(目次)へ戻る
- アルミニウム鋳物(鋳造品)の種類と特性
- アルミニウムの調質、質別記号の一覧
- 鋳造と鍛造の使い分け
- 鍛造と鋳造の違い
- アルミニウム合金の特性と種類、用途
- 非鉄金属材料の種類
- アルミニウムメーカー(アルミ合金、アルミ製品メーカー)
- アルミニウムの比重、密度の一覧