ADC5の機械的性質、比重、成分、熱伝導率など|アルミダイカストの特徴

2013年5月4日更新

アルミダイカストとしては耐食性に特化したタイプで、マグネシウムをベースにしたAl-Mg系のアルミ合金です。アルミ合金ダイカストの中では最も耐食性に優れます。

ADC5の特徴

耐食性が非常によい反面、鋳造性がよくないため、複雑な形状の製品には不適当とされます。機械的性質としては、伸びや衝撃値は良好なパラメータを持つので、強度が必要な場合も検討対象となります。

適度の強度と高い伸びを持つほかは、鋳造性や電気めっき性、気密性や高温での強度など他のパラメータはかなり劣ってしまうため、形状の簡単な製品などでの適用事例がよく見られます。類似のものとしては518.0があります。

用途としては船外機のプロペラ、シリンダー、インペラーといった構成部品、構成要素に使われる他、農機具の振動アームやつめ押え板、植付けアームにも使用されます。他、釣具でのベールアームレバーやクリック、スプールといった部品に使われることがあります。耐食性を見込んだ用途が散見されます。

ADC5の比重

ADC5の比重は2.57となります。

ADC5の成分、組成、材質

ADC5の成分
種類 成分
Cu Si Mg Zn Fe Mn Cr Ni Sn Pb Ti Al
ADC5 0.2以下 0.3以下 4.0から8.5 0.1以下 1.8以下 0.3以下 - 0.1以下 0.1以下 0.10以下 0.20以下 残部

ADC5の機械的性質|引張強さ、伸び、耐力、衝撃強さ、せん断強さ、硬さ

ADC5の機械的性質
種類 ADC5
縦弾性係数(ヤング率)
GPa
-
引張強さ
MPa
280
耐力(0.2%変形)
MPa
190
伸び(50mmでの)
5
衝撃強さ
kJ/m2
202
せん断強さ
MPa
200
疲れ強さ
MPa
140
硬度
HRB
40

ADC5の熱的性質、電気的性質|比熱、熱伝導率、熱膨張係数、凝固温度、電気伝導率

ADC5の物理的性質、熱的性質、電気的性質
比熱
J/(kg・K)
-
熱伝導率
W/(m・K)
96
電気伝導率(銅基準)
24
熱膨張係数(293から473K)
25x10-6/K
凝固温度
639から534

アルミダイカストの一覧|JIS規格

スポンサーリンク

>このページ「ADC5の機械的性質、比重、成分、熱伝導率など|アルミダイカストの特徴」の先頭へ

加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
アルミダイカスト(ADC材)の成分と種類、特徴(目次)へ戻る

ADC5の機械的性質、比重、成分、熱伝導率などについての関連記事とリンク

アルミニウム鋳物(鋳造品)の種類と特性
アルミニウムの調質、質別記号の一覧
鋳造と鍛造の使い分け
鍛造と鋳造の違い
アルミニウム合金の特性と種類、用途
非鉄金属材料の種類
アルミニウムメーカー(アルミ合金、アルミ製品メーカー)
アルミニウムの比重、密度の一覧

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集