ニッケル合金の種類|その特性・成分と用途

2010年8月14日更新

ニッケルは大気中500℃以下で安定した金属で、海水、淡水、中性・アルカリ性塩類の水溶液等への耐食性に優れた材料です。塩酸、硫酸についてはかなりの耐食性を持つものの、空気や酸化剤を含むと腐食してしまいます。また、硝酸、亜硝酸などの酸化性の酸や酸化性塩類には弱いとされます。このため、合金元素を添加してこうした耐酸化性の強い種類のニッケル合金も多く市販されています。加工性には優れた金属で、冷間圧延、熱間圧延、引き抜き加工、鍛造が可能で、多くの工業分野で利用されています。

ニッケルそのものの特性としては、以下の点が挙げられます。

  • 353℃に磁気変態点がある
  • 結晶構造は面心立法格子
  • 加工性よい
ニッケルの基本物性
比重 8.908
融点 1453℃
沸点 2910℃
電気抵抗率 6.84×10−6Ω・cm

ニッケルに添加される合金元素としてはV、Cr、Si、Al、Ti、Mo、Mn、Zn、Sn、Cu、Co、Feなどがあり、何をどれくらい添加させるかで合金の性質が変わってきます。

耐食性に優れるため、大気中に放置しておいても置割れが起きることはなく、水や海水に対しても安定という特性があります。有機酸に対しては常温、常圧では安定ですが、高温になると侵食される傾向があります。塩類に対しても、酸化性の強い塩類以外には安定しています。

工業用Niの純度はJISで定められています。工業用Niは耐食性、展延性に優れた材料として知られます。純度についてはニッケル地金(JIS H 2104)にて規定されています。

代表的なニッケル合金の種類

合金成分の含有量や種類によっていくつかに分類することができますが、ニッケル合金以外のカテゴリーとして認識されているものもあります。耐熱性、耐食性を向上させたものが多く見られます。市場に出回っているニッケル合金の殆どは、商標名がついており(ほとんどがスペシャルメタル社の登録商標です)、それらがあまりにも知られるようになったため、一般名詞にように使われている合金名もあります。ハステロイ、モネル、インコネル、インバー、コンスタンタン、ユーリカ、アドバンスなどニッケル合金材料が製品化されています。一般的に、他の鉄鋼材料や合金にはない高い耐食性を売りにしているものが多いため、材料の価格としては高価な部類になると思います。

スポンサーリンク

>このページ「ニッケル合金の種類|その特性・成分と用途の一覧」の先頭へ

加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る

ニッケル合金の種類についての関連記事とリンク

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集