木材の比熱

2022年9月18日更新

木材の比熱と熱容量は、その主用途が建材をはじめ、寒暖の環境変化に対して木材で囲われた空間の温度がどのように影響するかという点からも関心事の高い内容です。特にコンクリートの建造物と木造とで比熱・熱容量から、暖まりやすさや冷めにくいさが対比されることが多いかと思います。以下にその関係と、木材の比熱をみるうえで重要となる含水率との影響も見ていきます。

比熱と熱容量の関係

比熱は1グラムの物資の温度を1℃上げるのに必要な熱量のことで、比熱が大きいほど暖まりにくく、冷めにくい素材ということがいえます。

熱容量とは物体の重さに比熱をかけたものとなります。建造物や構造物の温度が上がった際に、どれくらいで下がっていくかについてはその大きさによるため、比熱ではなく熱容量で見ていく必要があります。コンクリートの建物が暖まりにくいものの、いったん暖まると冷めにくいのはコンクリートに重量があるため、木材の建造物に比べて熱容量が大きくなることに起因します。

木材の温度・含水率別の比熱一覧

木材の場合、木の種類(樹種)によっても比熱はほぼ変わりませんが、含水率と温度の影響を受けます。すなわち、温度が高いほど、比熱も高くなります。また含水率が多いほど、比熱も高くなります。

この二つのパラメータが同時に関与する為、同じ種類の木材でも厳密には正確な比熱というのはときどきで変わってくるということになります。

気乾状態になった木材の比熱は約0.38となりますが、これは温度によっても変化します。木材の比熱は、温度と含水率によって次の計算式で表すことができます。

  • 比熱=(26.6+0.116×温度+含水率))/(含水率+100)

上記の温度と含水率がそれぞれ変化した場合に、木材の比熱がどのように変化するかを表にすると以下のようになります。

木材の比熱と含水率・温度の関係
木材の比熱
(kcal/kg・℃)
温度(℃) 含水率(%)
0.266 0 0
0.333 0 10
0.345 0 12
0.362 0 15
0.378 0 18
0.435 0 30
0.511 0 50
0.633 0 100
0.706 0 150
0.278 10 0
0.343 10 10
0.355 10 12
0.372 10 15
0.388 10 18
0.444 10 30
0.518 10 50
0.639 10 100
0.711 10 150
0.289 20 0
0.354 20 10
0.365 20 12
0.382 20 15
0.398 20 18
0.453 20 30
0.526 20 50
0.645 20 100
0.716 20 150
0.301 30 0
0.364 30 10
0.376 30 12
0.392 30 15
0.407 30 18
0.462 30 30
0.534 30 50
0.650 30 100
0.720 30 150
0.312 40 0
0.375 40 10
0.386 40 12
0.402 40 15
0.417 40 18
0.471 40 30
0.542 40 50
0.656 40 100
0.725 40 150

木材と他材料の比熱の比較

金属やコンクリート、樹脂などの他の素材と木材の比熱を一覧にすると下表にようになります。比熱が大きいほど温まりにくく、冷めにくい素材ということがいえます。

コルクほどではないにしろ(コルクも木材の一種ではありますが)、木材の比熱は他の材料に比べて高いということがいえます。ただ建物で見た場合、コンクリートの建物のほうが冷めにくいのは、上述の通り熱容量が大きいことによります。

木材の比熱と他の材料との比較
材料名 温度 比熱
(kcal/kg・℃)
木材 20 0.298
コンクリート 20 0.21
耐火レンガ 200 0.21
アルミ 20 0.214
鉄鋼 20 0.113
ステンレス 20 0.110
ガラス(パイレックス) 10から50 0.119
ポリスチレン 20 0.320
フェノール樹脂 20 0.38
コルク 20 0.4から0.5
20 0.998
空気 20 0.24

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