現品のやり取りがない貿易外取引とは

2024年5月27日更新

貿易外取引とは、形のある商品の移動(売買)が伴う貿易取引と違い、サービスやロイヤリティの支払い、補償金のやり取り、特許料の支払い、データのやり取りで完結するサービスの提供、支援費用の支払い等に伴って発生する金銭のやり取りのことを意味します。物品の貿易ならば、輸出側、輸入側それぞれの税関で輸出許可、輸入許可を経ますので、このときの申告に使用している金額が支払額ともなるのですが、物のやり取りがない場合は、請求書を発行する側と送金する側のインボイスのやり取りに基づき、送金金額を決めていきます。このときに使用するインボイスを貿易外インボイスや未収金インボイスといったりします。

ただし、どの国も自由に送金ができるというわけではなく、送金の規制がありますので、どのような名目での請求・送金とするかを事前に確認しておく必要があります。なかには、関税や消費税などの支払額を減らすために、評価額であるCIF価格を落とすために、かかった費用を製品の売価から抜いて、こうした貿易外取引の形で金銭のやり取りを行う企業もありますが、税関の事後調査で追徴課税の対象となります。

単価に入れるべきものは単価に入れて売買する、のが基本となりますが、例えば海外から日本へ輸入している製品の金型代金だけまとめて日本から現地へ支払った場合で、現地側が輸出するときに金型費用を単価に入れなかった場合、輸入時に金型費用を加算要素という形で申告しないと、税額の支払額が不足することになります。

この金型費用の送金も貿易外取引のひとつです。金型は現地で製作し、現地で使用するので金型そのものは貿易されませんが、その費用だけ単価に含まずに貿易外インボイスでやり取りするという方法です。

使用する際は、送金に関する規制(何の名目での送金で、それは規制対象ではないか、送金できるか)の確認と、税務(関税や消費税等の過少申告にならないか、送金名目に適合した税の支払いを行っているか)については事前に確認しておくべき内容となります。

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