インボイス価格0円の記載はできるか
貿易に必須となる送り状兼請求書でもあるインボイスには価格を記載する欄がありますが、ここに売買価値がない物品の場合、0円や0ドルといった記載はできるのでしょうか。
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0円の表記は御法度
結論からいえばできません。無料のサンプルや不良品を返品するような場合、返却するような場合、あるいは売買してもまったく金銭的な価値がないものを送ることもあるかと思います。こうした場合も0円とは記載せず、本来売買するとしたらいくらでやり取りされているものかを調べ、その相場に近い金額にしたり、原価に管理費や利益などを暫定で載せた金額を記載します。
インボイス価格はインボイスバリューともいいますが、輸入側ではこの金額をもとに関税や付加価値税などの諸税を決めます。これら税金を取るかどうかというのは各国の権限に基づくため、国が異なれば税制も異なることになりますが、売買ではなく無償だからといって税金が課せられないというわけではないため(そんなことをすれば、片っ端から無償扱いにして貿易してしまう事態にもなりかねません)、正しい金額が必要となります。
各国の税関は物品の相場表のようなものを持っており、例えば、300万円前後するような金型を送る際に、1万円というようなことを記載して送ると国によっては通関時に止められ、輸入できなくなることもあります。
これはなかなか難しい問題で、例えば中古品を送るときに、減価償却分を加味すると、日本国内での帳簿上の価値は1円になっているようなものでも、1円とインボイスに記載すると問題になるということです。例えば自社と資本関係のない会社に、中古で販売するとしたらいくらくらいで売買されるものなのかという基準で考え、場合によっては少し高めにするという方法も安全策としてはあり得る選択肢かと思います。
1円や1ドルといった明らかにこれは違うだろうというような価格を付けるのは避けたほうが良いです。仮に本当に1ドルや1円が価値だという場合はそれが説明できれば良いのですが、事後調査でも指摘されやすいポイントかと思います。
無償インボイス扱いで送る
売買ではなく、無償でのやり取り、無料サンプルの授受ということであれば、インボイス価格は正規の売買価格を記載して、non commercial invoiceという無償インボイスの形式でインボイスを発行します。そのうえで、相場からずれていない価格を記載することになりますが、国によってはあまりに高額なインボイス価格のものを無償扱いで送ると税関で指摘を受け、通関が止まることがあります。
グループ会社間の取引で日本から高額な設備などを送る場合にはこうしたことがありますが、この場合、non commercial invoice扱いにせずに送付するという方法が取られることもあります。
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