ビジネスで「握る」が意味するもの

2024年5月6日更新

ビジネスにおける「握る」というのは、事前に合意しているという意味を持ちます。「この件、関係者と握っているのか」「客先と握りました」という場合、合意や了承を取り付けているということです。英語では、build a consensusやcreate a consensus on〜といった表現が使われます。万全を期してより正確にということであれば、「事前に合意を交わす」の英語訳であるmake an agreement in advanceという表現がしっくりきます。

昭和の時代に作り出されたビジネス用語や業界用語の一種ですが、この用法では辞書にすら登録はされていません。由来は諸説ありますが、何らかの合意に至る場合、双方が握手をする(=手を握る、shake hand)ことで合意するというところからきているという説が一般的です。

ただしトラブルになりがちなのは、次のような場合です。

  • 決裁権限のない相手方がメールではよいといっていたが後から翻してやっぱりダメになったという場合
  • 口頭だけでの了承であとからそのようなことは言っていない
  • 先方からの了承を取り付けていたが、あとから先方のニュアンスが違うということで「合意」内容に食い違いがある場合

「握る」がどこまでのことを意味しているのかについては案件によっては明確にしておいたほうがよいでしょう。軽い意味合いで先方の了承を取り付けたといっているのか、それとも合意文書が存在するようなレベルでの正確な合意なのか、この言葉だけからでは良く分かりません。またえてしてそれが目的で「握る」という言葉を使うこともあります。

その場をやり過ごす意味合いで、「先方とは握っているんです」といえば、周囲も何となく「ああそうなのか」という雰囲気でそれ以上突っ込まずに案件が進んでしまうという状況です。それが組織としてよいかどうかは議論の余地があると思います。

また合意、というと何となく構えてしまって、聞くほうも「合意ってなんだ?」となるような局面で、握ったといえば、了承得られているということが強調される、という用法です。

当然のことながら、この言葉が通じない組織もありますので自組織内で使う場合は周囲の用法や相手方へ通じているか気を付ける必要はあります。

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