パレットにおける動荷重と静荷重の違い|動荷重と静荷重の安全を見た換算について

2018年5月14日更新

パレットを購入するとカタログ等で仕様を示すデータに、動荷重と静荷重という項目が設けられていることがわかります。この動荷重と静荷重の違いは一体何でしょうか。パレットの最大積載重量を調べるときにはどちらを使うべきか迷ったことがあるかもしれません。動荷重よりも静荷重のほうが大きな値が設定されていますがこれらはどのような意味で使われているのでしょうか。

静荷重は動荷重の何倍か

静荷重は動荷重の何倍になるかはパレットの種類、材質や製造元にもよりますが、概ね2倍〜4倍程度となることが多いようです。もちろん、パレットの材質がどんな木材なのか、あるいはどのような種類の樹脂なのか、鉄鋼なのか等によっても変わってきます。この静荷重と動荷重の違いは、名称からもなんとなく想像できるとおり、静荷重はパレットを動かさずに上に貨物を載せた状態でどこまで耐えられるかを示す重量であり、動荷重は、実際にパレットに貨物を載せて運搬が可能な最大積載荷重のことを意味しています。

パレットの最大積載重量は動荷重

パレットは各種のリフトを使って運搬することを前提に設計されている荷材ですので、最大積載重量というのは、動荷重で見ます。パレットの動荷重が1000 kgと表示されているスペックなのであれば、この1000 kgがパレットにつめる上限の荷物の重さです。

パレットの段積みの限界は静荷重

では静荷重は何のために使うのかといえば、荷おろし等したあと、荷物が積んである状態のパレットを何段まで積んでよいかの目安として使うことができます。倉庫にパレットごとに保管する場合、動荷重が1000 kg、静荷重が2000 kgならば、1パレットに1000 kgの製品が積んであると仮定すると、倉庫保管時には2段までがパレットの耐えられる最大の重量ということになります。これ以上積むと、パレットの耐荷重をこえてしまうため、安全上問題があるということです。

パレットの動荷重と静荷重の違い
動荷重 1パレットへ載せることができる最大積載重量
静荷重 持ち運びせずに段積みできるパレットの総重量

パレットの自体の重量|自重の換算

個々のパレットのメーカーに確認する必要はありますが(自重を含む値かどうか仕様として記載されている場合とそうではない場合があります)、通常、荷重の値にはパレットの自重は含まないで計算することが多いため、パレットそのものを運搬する場合はパレット自体の重さも加味する必要があります。

パレット自体の重さである自重は軽いもので8 kg前後から重いものでも50 kg以下の重さです。パレットを使用する表と裏の向きが決まっているものを「片面パレット」と呼び、表裏どちらを上にしても使えるパレットが「両面パレット」となります。この違いでもパレットの自重は異なり、両面パレットのほうが一般には重くなります。さらに、フォークリフトで運ぶ場合には、フォークを差し込む位置が気になりますが、2方向からしか差し込めないものと4方向すべてから差し込み可能なものがあります。

動荷重と静荷重は温度や劣化状況でも変わる

また、動荷重と静荷重の値は常温での使用が前提となっていることが多いため、高温環境、低温環境ではパレットの強度が落ちることも想定しておく必要があります。さらにいえば、経年劣化や老朽化したパレットは新品のものよりも強度が落ちることも加味しなければなりません。材質が同じパレットであっても、構造や厚みが異なると強度も変わるため、耐荷重を調べる際は個々に検討していく必要があります。

パレットはワンウェイの使い捨てのものもありますが、原則は再利用されるものですので、何度も使っていくうちに劣化していきます。パレットの破損は重大な事故につながるため、安全な作業のためにも最大積載重量の検討は慎重に行うべきです。コストが下がるから、という理由で積みすぎることは危険です。老朽化したパレットについては事故を起こす前にすみやかに新しいものと交換するほうがよいかと思います。

パレットの積載重量を決める際に注意すべき項目

貿易をはじめ、国際輸送で用いるパレットの総重量(グロス重量)は1パレットあたり概ね1000 kg 前後に設定していることが多いですが、これはパレットそのものの耐荷重とそれを持ち運びするリフトの性能、コンテナの最大積載荷重と関係があります。

パレットそのものに設定されている最大積載重量というのは、動荷重で見ることは前述したとおりですが、貿易ではさらにこれらをコンテナにつめて輸送します。コンテナを1本まるまる借り切って輸送する方法をFCL、対して他社と同じコンテナで混載して運んでもらう方法をLCLといいますが、例えば海上輸送であれば使用するコンテナのサイズは20ftコンテナか、40ftコンテナになります。これらコンテナには、一般的な1100 x 1100 x 1000 mmの容積を持つパレットがどれくらい入るかというと、コンテナ内で2列2段積みを前提とすれば、20ftが20パレット、40ftが40パレット積載することができます。

ただしコンテナ自体にもそれぞれ最大積載重量が設定されていますので、1トンのパレットを40パレットも積むことができるコンテナは残念ながら存在しません。一般的には20ftでは21t程度、40ftで23t程度を目安に最大積載重量を検討していきます。

最大積載重量をオーバーする重さでパレットを作ってしまうと様々な面で支障が出てきますので、積みつけの設計を思い描く際には、1パレットにどれくらいの重量を積むべきかという点はパレットの最大積載重量以外の内容も検討が必要となります。

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