D-6は基準日から6日前を意味する表現
D-6というのは月末(翌月初日)時点から6日前を意味しており、この用語が使われるのが自動車部品業界であるなら、トヨタの内示展開日のことを指しています。Dはその月の最終稼働日を示しています。したがって、−6(マイナス6)というのは、翌月の初日からカウントして6稼働日前ということになります。土日は飛ばしますので、あくまで稼働日ベースでのカウントです。
不特定の基準日の起点を示す
D+数字は、Dに続く数字によって月の中のどの日を指しているかを示す表現です。DのかわりにNを使う自動車メーカーや部品メーカーもありますので、その場合はN-6(翌月初日から6日前)、N-4(翌月初日から4日前)、N+0(翌月初日当日)、N+10(翌月初日から10日後)といった表記方法になります。
DやNというのは、起点となる日という意味合いでも使われます。例えば納入日をDまたはNとした場合、D-30やN-30で納入日の30日前という表記ができます。
DはD day(米国の軍事用語での作戦開始日時)からきているという説や、単にDayを示しているという説があります。Nを使う場合も、いわゆるN増し、サンプル数の意味であるN値と同様の意味合いということになります。語源については諸説ありますが、DまたはNを使うことが多いです。
表記 | 日付例 | 何日前か |
---|---|---|
D | 8月1日(木) | 起点 |
D-1 | 7月31日(水) | 1日前 |
D-2 | 7月30日(火) | 2日前 |
D-3 | 7月29日(月) | 3日前 |
D-4 | 7月26日(金) | 4日前 |
D-5 | 7月25日(木) | 5日前 |
D-6 | 7月24日(水) | 6日前 |
この書き方を使うと、ゴールとなるD日やN日から起算して何日前には何をすべきか、何日後には何をすべきか、どれくらいのリードタイムがかかるのか、といった点を時系列で記載することができます。
冒頭の内示展開日という点に話を戻すと、これは翌月と、翌々月、さらにその翌月の自動車の生産予定数量つまり部品の発注見込み数量が発表される、ということになります。部品メーカー各社はこの情報をもとに、材料や部品の調達に動き、生産計画を立案し、人員の手配を行います。
自動車部品のように、カーメーカーから部品メーカーA→部品メーカーB→部品メーカーC→材料メーカーのようにサプライチェーンが五月雨式になっていると、D-6で内示が展開されたとしてもその次のサプライヤーはそこで早くても1日後に次のサプライヤーへ内示を伝えるという形になるので最終的に月末ギリギリにならないと内示が揃わないという状況もよくあります。
当日のある時間に生産する分だけの注文がかんばんを使って飛んでくるのがトヨタのジャストインタイム方式ですが、このように在庫を持たずに、部品・材料を調達できるのは限られた物品だけです。多くの製造品はその材料の調達から生産に至るまで所定のリードタイムがかかり、生産もその日に出荷する分だけというわけにはいかず、ロットでの生産が必要となりますので、3か月前に内示数量が展開される、という仕組みです。このため、何日前にこれから3か月先までの内示が入るかというのは非常に重要な情報ということになります。1日の差で準備が間に合わない、ということにもなりかねません。
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