ロットとバッチの違い
ロットとバッチの違いについては、製造業の分野や職種によっても使われ方が違う微妙な表現です。というのも、厳密にロットとバッチを分けて管理するために用語を使い分けている分野や会社がある一方、両者の意味するものがほぼ同じで、話の文脈でロットなのかバッチなのかを使い分けるケースもあるからです。また製造業の中にはそもそもバッチという表現を使わない場合や、反対にロットという表現を使わない分野があります。
バッチ生産とロット生産は本質的には同じもの
生産管理の分野でバッチ生産、ロット生産といった場合、両者は同じことを意味していることが多いです。というのも、バッチ生産やロット生産といった場合、それに対置する概念、つまり反対の意味をもつ対義語は一個流し生産や平準化生産、パー割生産となるからです。この場合のロット生産やバッチ生産というのは、ある特定のまとまりやかたまりの単位でまとめて製造する、という意味となります。それがロット単位なのかバッチ単位なのかの違いはありますが、生産方式としては同じものを意味しています。
ロットとバッチを使い分ける業界・分野
英語ではロットはLot、バッチはBatchを表現されますが、ロットとバッチが明確に使い分けられている業界としては、医薬品の分野があげられます。原材料、原料などの化学薬品、の製造分野でもロットとバッチを使い分けた表現がなされることがあります。
一言で言ってしまえば、
バッチ>ロット
となり、バッチをさらに細かくしたものがロットというのがこの分野での一般的な解釈です。製造工程によりますが、1ロットが1,000個単位としたら、1バッチは10ロットといったような形で、表記されます。
バッチの意味
ここでのバッチの意味とは、一つの生産サイクルで一度に生産される単位を意味しています。規定した範囲内で同一の特性、同一の品質をもつことを意図して生産される単位となります。
ロットの意味
バッチのうち、さらに特定の条件で同一の特性・品質を持つことを意図して生産される単位です。この特定の条件というのは、例えば医薬品の場合、特定可能な単位(製造時間や製造する量・数量など)のなかで、同一の特性・品質を持つことを意図して生産した単位ということになります。同じバッチのなかでも、ロットがいくつも分かれているということになり、さらに細かい単位での品質管理が可能となります。
ロット処理とバッチ処理という言い方の違い
また、上記とは別に、ロットとバッチの違いは区切る主体によって言い方を変えているケースもあります。
どういうことかといえば、ある設備を使って特定の単位の原材料を投入して、決められた操作単位で処理するとします。この場合、この設備を1度に動かす単位をバッチ処理と呼び、出来上がってくる製品単位の個数の側から見た場合に、ロット処理という表現を使う場合もあります。
製造装置を動かす際にはバッチ処理やバッチでの管理を行いますが、出来上がった製品を運んだり、倉庫へ保管したり、販売したりする場合にはロットでの管理へ名称が変わるケースです。
もっとも、これはロットとバッチで単位を使い分けていないケースのみで見られる使い分けです。前述の化学品や原料、原材料、医薬品の分野のように、そもそもバッチとロットの関係がバッチ>ロットとなっている場合は、明確に使い分けがなされます。
ロットではなくバッチという言い方をする場合
ロットを使わずにバッチという表現を使う業界としては、受託成膜など基板や光学部品の表面に薄膜をつける分野で見られます。1バッチあたりでコスト計算や見積もりが出されることがあります。
真空蒸着の世界であれば、薄膜をつける対象品をチャンバーに入れ、真空引きして成膜を行いますが、大きな基板であれば1点のみをいれ、小さなレンズであれば数十、数百もの部品がチャンバーに一度に投入されることもあります。このチャンバーに入れて成膜を行う単位を1バッチで呼んでいます。
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