能増の意味とは|能力増強と増面の違い
能増は「のうぞう」と読み、もともとトヨタ用語で、生産能力そのものを増強することを意味します。トヨタと直接、あるいは間接的に取引される会社や自動車部品業界全般でよく使われるほか、自動車業界以外でも製造業では割りと使われることがあります。英語では、「生産能力を増強する」という意のフレーズであれば同様の意味になりますので、「increase in productive capacity」「production capacity increase」等の訳語で通じます。
ただ、各製造現場でもニュアンスが異なることがありますが、「能増」といった場合、設備そのものの増強が中心となる為、型の数を増やす「増面」よりも費用のかかる大掛かりな生産能力増強の事を意味しています。
製造現場は、生産計画に基づいて原材料の発注や人員の配置・手配などを行っているため、あらかじめ内示でもらっていた計画数量(発注予定数量)よりも実際の発注が増えてしまったときには、簡単には対応することができません。増産が必要な場合、それが一時的なものなのか、どれくらいの増加量なのか、情報がいつ入ってきたのか、数ヶ月続くのか、1年以上続くのか等によっても、対応方法は異なってきます。
現在の生産能力では対処できないオーダーがあったとき、製造現場ではおおむね、「人員の一時的な増加(他部署、他工場の応援も含む)」「増面(金型を使って量産するような場合、その使っている金型自体を増やすことで生産能力をあげる)」「能増(設備そのもの、生産ラインの増加なども含めて増やす)」といった方法があります。
増面や一時的な応援のことを「能増」という会社もありますが、通常は、設備・機械そのものを増やす、増強することの他、それに付随し人員も増やすという、生産能力アップの方法としては「能増」はもっともコストがかかるものの、能力幅も大きく確実に増やすことができるため、今後もしばらくは大幅な増産が必要だ、というようなときはこの能増が検討されます。
金型の増加だけでよいのであれば、増面で対処できますが、こちらも通常は金型という高額な固定資産を増やすことにはなるため、能増ほどではなくともコストはかかります。一般的には、生産キャパをオーバーしつつあるというようなときは、増面で対処されます。さらに、一時的なものであったり、増面するまでもない、というようなケースでは他工場からの応援や一時的な人員の補充で対処することが一般的です。
なお、自動車部品の世界ではピーク数と呼ばれる月間想定の最大発注量を発注者、受注者の間であらかじめ設定しておきます。このピーク数が大きく変わるようなときには、ピークとなる月の前後数か月分の内示をもらい、増面が必要か、あるいは能増が必要か検討を行うことになります。増面も費用がかかりますが、能増となるとそれ以上となるため、より精度の高い内示情報を入手することが鍵となってきます。
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