試作型と量産型の違い
金型を用いて製造する製品の多くは、試作品をまず作り、それから量産品と試作品の中間に位置する製品を作り、各ステップごとで客先要望を満たす品質の製品が合格し、ようやく量産品の生産に着手するという手順を踏むことが多いです。
量産品をつくるための金型と試作品をつくるための金型では求められるスペックが違い、これがそのまま価格や納期、製法にも反映されてきます。
例えば自動車部品の世界では、初期の頃に客先へ評価用に提出するものは「試作品」であり、このときに使われる金型は試作型となります。これがだんだんと進んでいくと、求められる製品が今度は本型品と呼ばれる量産型を使って作った製品となり、さらに進むと、本型本工程品と呼ばれる量産型を量産工程で使って生産した製品を納入して評価を受ける、という具合になります。
初期の頃の試作品を作るための試作型は比較的短いリードタイムで生産できますが、大量生産を前提とする量産型となると、寸法精度や耐久性をはじめ、求められるものが上がってくるため、生産や準備には時間がかかります。
寸法精度を上げるためには高精度の加工のほか、評価やトライアルに余計時間が必要となります。また、量産で用いる金型は、大量生産が前提となるため、同じものを支障なく作り続けられることも必要です。
試作型では数個から数十個作ることができれば問題なかったものでも、月に何万個、何十万個と生産する場合、離型性が悪くなったり、使っているうちにバリなどが出てきたり、あるいは型がへたってきて、精度が悪くなってきたり、コーティングの張替えに予想外に時間がかかったりと、様々な問題が発生します。
量産型での生産を求められているのに、試作型で作ったものを客先へ納品できない、というのはこうした事情があります。
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