システムサプライヤーの定義
自動車業界や自動車部品業界において耳にするシステムサプライヤーとは、定義は各社により微妙に異なるものの、大枠は顧客や最終ユーザーの新しいニーズをとらえて、特定専門領域で複数部品・機能を組み合わせ、最適化されたシステムやモジュールをOEMまたはメガサプライヤーに提案する企業、ということになります。トヨタやトヨタ紡織といった完成車メーカーもこの用語を使うことがあります。例えばトヨタがハイブリッドの高度な技術を他の自動車メーカーに供給する場合、システムサプライヤーとしての立ち位置になります。
自動車の完成車メーカーに大量の部品を供給する自動車部品業界では、単一の部品を供給するサプライヤーから、単一の部品がある程度集まった「かたまり」で供給するモジュールのサプライヤー、そしてモジュールがさらに複数集まり自動車の特定の機能部分をシステムとして供給するシステムサプライヤーという分け方ができます。後者になるほど、より大きなメーカーという見方もできます。
たとえば、内装システムサプライヤーといえば、自動車における内装全体を手掛けていますので、内装全体の提案が可能となり、パワートレインのシステムサプライヤーであれば一部品ではなく、自動車全体の駆動系のシステムと部品の供給や提案がすべてできる、ということになります。サスペンションのシステムサプライヤーとなれば、サスペンションを構成する一部品の仕組みそのものも含めカーメーカーへ提案できる技術力があるということになります。
こうした自動車部品のモジュール化やシステム化は日系の場合、欧州系に比べて進み方がゆっくりであるとは言われています。つまり、単一の部品のみを自動車メーカーへ直接納入するという取引も多数存在します。
自動車のコア技術にかかわるモジュールやシステムを外注先に頼ると、自動車に関するノウハウを外部に依存することになる懸念もあり、そのサプライヤーからの供給が途絶えると自動車の開発や生産ができなくなる、というようなことは完成車メーカーとしては避けたいところです。
部品メーカーの目線で見ると、モジュール化すればそれだけ部品に付加価値を付与できる余地が大きく、さらにそれがシステム化するとさらに付加価値は増大します。高い技術力や検証力が求められ、システムで自動車メーカーへ供給した場合、万が一、そのシステムやモジュールに使用している部品に不具合があればリコールなどで発生する損害はシステムサプライヤー側で被ることになりますが、こうしたリスクを鑑みても、より大きなシステムや部位を担うメリットのほうが大きいため、部品メーカーの多くはシステムサプライヤーやモジュールサプライヤーを目指す傾向があります。
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