圧造はヨコ、鍛造はタテの圧力

2013年1月31日更新 2024年8月10日最終更新 Written by 金属加工事業部

圧造と鍛造はどちらも冷間・熱間あるうえに、使用される設備や業種によっても少々用法に混乱が生じることがあります。端的に言えば、どちらも鍛造加工なのですが、力を加える方向がヨコなのか、タテなのかという違いがあります。

圧造とは

圧造とは鍛造の一種といえます。別名、圧造はフォーマー、ヘッダーとも呼ばれますが、これらの加工は横方向から圧力をかけていくことに特徴があります。通常、圧造といった場合は冷間圧造(常温で圧力をかけて加工していくこと)のことを指しますが、熱間もあります。

鍛造とは

鍛造は、縦方向から圧力をかけて金属を加工する方法です。高温で行われることが多く、金属の結晶構造が整い、強度が増します。鍛造品は、耐久性が求められる部品に使用されることが一般的です。

圧造と鍛造の違い

圧造と鍛造はほぼ同じ意味ですが、圧造は前述の通り、横方向から加圧して成形するタイプの機械加工について言うことが多いため、フォーマーやヘッダーによる加工の場合に限定して使われる用語とも言えます。具体的な加工内容としては、端面矯正・前方押出し加工・後方押出し加工・据え込み加工・穴抜き加工・打ち抜き加工(トリミング)等を指します。

対して、プレス加工は縦方向から圧力をかけていくもので、プレス加工による加圧を施したものは鍛造品と呼ぶことが多いです。この定義に従うと、圧延などのプレス加工を施された鋼材についても鍛造材と呼ぶことも出来ますが、一般の鋼材については特に鍛造材という言い方は稀です。鍛造加工をあらためて行ったものについて使われますが、用法によっては圧造と鍛造を区別しないで使うケースもあります。

鍛造とプレスは加工する前の材料形状の違いによって用語が使い分けられています。板材の場合はプレスで、それ以外の円柱等は鍛造とされます。

イメージとしては、ハンマーによる強い力で何度も金属をたたいて金属組織をち密に、身が引き締まった状態にする加工が鍛造なのですが、プレス機もそのような大きな力をかける設備ですので、加工材料の違いというところで使い分けられています。

鍛鋼品の特徴

鍛鋼品とは、鍛造比が一定以上のもののことを言います。鍛鋼品は鍛造品や圧造品とは異なり、特に高い強度と耐久性が求められる部品に使用されます。鍛鋼品の製造には、高度な技術と管理が必要です。

最新技術とトレンド

最近では、圧造と鍛造の技術が進化しており、新しい材料や加工技術が導入されています。コンピュータ制御のプレス機や高精度な冷間圧造技術により、複雑で高精度な部品の製造が可能となっています。また、環境負荷を低減する技術革新も進んでおり、リサイクル材の使用やエネルギー効率の改善が求められています。

まとめ

圧造と鍛造は、それぞれ方向が異なる加工方法であり、用途や製造コストに基づいて選択されます。圧造は冷間で横方向から圧力をかけて成形し、鍛造は高温で縦方向から圧力をかけて強度の高い部品を製造します。最新技術の導入により、これらの技術はさらに進化しており、今後のトレンドにも注目が必要です。

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