鋼材の生材とは何か
鉄鋼材料の世界では、熱処理する前の状態の鋼材を、とくに生材(なま材)と呼びます。生材の読み方は「なまざい」です。また焼き入れなどができないSS材のような鋼材のことをこう呼ぶ場合もあります。生材は英語では、unhardened steelと呼ばれます。焼き入れをした鋼材をhardened steelと呼びますので、ちょうどその反対ということになります。
鉄鋼材料は通常、熱処理をすることで硬さや粘りをだしていく素材です。いろいろなグレードの鋼材の成分が「生まれ」とするなら、熱処理は「育ち」といえます。生まれと育ちが掛け合わされて最適な硬さや強度をもつ鉄鋼材料となります。生材のまま使用される材料は、SS400、S50C、S55Cなど限られたもので、そのほとんどが何らかの熱処理を施されて実用に供されています。
生材は研削・研磨においては加工が困難な難削材の部類に入ります。硬度が低いため、材料にねばりがあり、切りくずも絡み付いてうまく砥石が機能しません。具体的には、目詰まりや、目こぼれなど砥石の性能が発揮されず、損耗が大きくなります。
このため、生材は砥石の表面のなまった部分を削り落として砥粒をふたたび表面に出すための「目立て」「ドレッシング」に使われることもあります。
通常、研削盤で加工を行う際には焼きの入った鋼材を加工するのが一般的ですが、何らかの事情で生材の研削を行う場合は、目詰まりが多発するため、ドレッシングインターバルが短くなることや、砥石の損耗が激しくなることなど、通常の鋼材よりもコストや労力がかかることを念頭に置いておく必要があります。
金属材料によっては生材だとほとんど研削ができないようなものもあります。
スポンサーリンク