鉄鋼、炭素鋼、合金鋼の焼入れ深さ
鉄鋼材料には用途に応じて数々の鋼種が存在しますが、焼入れした際に、どれくらい深くまでその効果が及ぶのかは個々に異なってきます。
鉄鋼においては、完全に焼入れがはいったか否かで、材料の強度をはじめ、機械的性質に大きな違いが出ます。また、焼入れによっては表面の硬度だけを上げておき、中身の部分に粘り強さを持たせておくことで、本来、硬さと衝撃に強いという相反するパラメータの双方のバランスをとることもできます。
下表は、鋼種によっての焼入れ性の二つの指標(焼入れ深さ、焼入れ硬さ)のうち、どのくらいの深さまで焼入れが入るのかを計算したものです。焼入れが深く入ることを、焼入れ性がよいとも表現しますが、これには金属組織を構成する粒子の大きさや、合金を作るために添加されている合金元素などが影響します。
焼入れ性のよい鋼材であれば、硬度や強度をかなり調整可能になるため、焼入れ性のよさで材料を選ぶという考え方もあります。より焼入れがしにくくなるサイズの大きな部材の場合は、この影響はさらに重要になってきます。なお、浸炭用のハダ焼鋼は、表面のみを硬化して中身の靱性を活かして使うタイプの鋼材です。
鉄鋼材料の種類 | 焼入れの深さ(インチ):焼入れ性 |
---|---|
C9CK(浸炭はだ焼き専用鋼) | 0.33 |
C15CK(浸炭はだ焼き専用鋼) | 0.41 |
C20CK(浸炭はだ焼き専用鋼) | 0.48 |
S30C(炭素鋼) | 0.70 |
S45C(炭素鋼) | 0.85 |
S50C(炭素鋼) | 0.90 |
S55C(炭素鋼) | 0.95 |
SCr430(クロム鋼) | 2.3 |
SCr435(クロム鋼) | 2.5 |
SCr440(クロム鋼) | 2.6 |
SCr445(クロム鋼) | 2.8 |
SCr415(クロム鋼) | 1.6 |
SCr420(クロム鋼) | 1.9 |
SCM432(クロムモリブデン鋼) | 3.3 |
SCM430(クロムモリブデン鋼) | 3.9 |
SCM435(クロムモリブデン鋼) | 4.2 |
SCM440(クロムモリブデン鋼) | 4.5 |
SCM445(クロムモリブデン鋼) | 4.7 |
SCM415(クロムモリブデン鋼) | 2.7 |
SCM420(クロムモリブデン鋼) | 3.1 |
SCM421(クロムモリブデン鋼) | 3.5 |
SCM822(クロムモリブデン鋼) | 4.3 |
SNC236(ニッケルクロム鋼) | 2.65 |
SNC631(ニッケルクロム鋼) | 3.50 |
SNC836(ニッケルクロム鋼) | 4.70 |
SNC415(ニッケルクロム鋼) | 1.30 |
SNC815(ニッケルクロム鋼) | 3.15 |
SNCM431(ニッケルクロムモリブデン鋼) | 5.4 |
SNCM625(ニッケルクロムモリブデン鋼) | 8.8 |
SNCM630(ニッケルクロムモリブデン鋼) | 17超 |
SNCM240(ニッケルクロムモリブデン鋼) | 3.85 |
SNCM439(ニッケルクロムモリブデン鋼) | 6.3 |
SNCM447(ニッケルクロムモリブデン鋼) | 6.8 |
SNCM420(ニッケルクロムモリブデン鋼) | 2.85 |
SNCM616(ニッケルクロムモリブデン鋼) | 18.6 |
SMn443(マンガン鋼) | 1,56 |
SMnC443(マンガンクロム鋼) | 3.35 |
SACM645(アルミニウムクロムモリブデン鋼) | 5.6 |
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