焼入れ性とは

2013年1月2日更新

焼入れは金属材料を硬く強い材料にするために不可欠な熱処理で、これなくしては金属の利用も今のように拡がっていなかったかもしれません。

鋼材の硬さは焼入れによってかなり調整ができますが、鋼材には、焼入れしやすいものと、しにくいものがあります。焼入れのしやすい材料を、「焼入れ性がよい」と表現します。焼入れによる硬化を行う場合は通常、次の二つからその焼入れ性を見ます。

2方向から焼入れ性を見る(表面硬さと深度)
硬焼き 深焼き
表面がどれだけ硬くなるのかという点を見ます。焼入れ硬さとも言います。 表面からどれくらい深く焼きが入るのかを見ます。焼入れ硬化層深さとも言います。

焼入れ性に影響する要素

前述の通り、炭素量が焼入れ硬さには大きく影響すると書きましたが、では炭素量が同じならば鋼材によって焼入れ性に違いは出ないのでしょうか。

鋼材の成分に添加されている合金元素

実際、添加されている元素によっても焼入れ性は変わり、例えば、以下のような合金元素は焼入れ性をよくするとされます。

  • ホウ素
  • マンガン
  • モリブデン
  • クロム

鉄鋼の結晶粒度

また、上記のほか金属組織の結晶粒度も影響します。結晶粒度が粗いほうが焼入れ性が良くなります。ただし、一般に粗い結晶粒度をもつ金属は機械的性質には劣る傾向にあります。粒度番号で言えば、7〜8程度がよいとされます。焼入れによる改質を見越して素材を選んでいきます。

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