鋼板と鋼帯の違いとは

2018年2月25日更新

鉄鋼材料を購入する際の形状となる「鋼板」と「鋼帯」にはどのような違いがあるのでしょうか。どちらも平坦な板状のものには違いないのですが、鋼材の規格では、それぞれで規格が別になっているものもあれば、同じ規格内で規定されている場合もあります。

鋼板とは何か

鋼板は「こうはん」と読み、端的に言えば「板」の形にされた鋼材料です。さらに厚さによって、薄板、厚板の違いがあります。厚板はさらに細かく分けるのであれば、中板、厚板、極厚板となります。

鋼板はあらかじめ指定された幅と長さに切断された状態で購入・出荷されるものもあれば、そうしたオーダーメイドにて切断してさらに小さな鋼板(切板)として使うものもあります。基本は、タテ×ヨコの寸法で表示されますが、鋼板の流通形態には、「定尺材」「スケッチ材」の別があります。定尺材はいわゆる決まった寸法で流通する板材で、スケッチ材は、定尺材からさらに注文に応じたサイズで切断した板材です。

SPCCをはじめとするよく使われる鋼板は定尺材で仕入れる場合、尺を単位とした寸法で呼ばれる慣わしがあります。3x6(サブロク)、4x8(シハチ)、5x10(ゴトウ)といった名称です。3x6(サブロク)は、3尺x6尺の鋼板で、1尺が約303ミリとなりますので、914mm x 1829mmのサイズとなる鋼板ということになります。このサイズからさらに小さく切断したものも、スケッチ材として流通しています。

鋼帯や帯鋼はコイル状に丸めたもの

一方、鋼帯は「こうたい」と読み、帯鋼(たいこう)と呼ばれることもありますが、字からも連想できる通り、帯状につながった鋼板です。ロール状に丸めてあるもので、いわゆるコイル材のことです。

丸めるため、厚さの上限は鋼板よりも薄くなります(厚みがありすぎるとロール状に巻いていけないため)。プレス加工などをはじめ、大量生産が前提となる加工現場では、鋼材商社等からコイル材となる鋼帯の形で材料を仕入れ、途切れることなく連続で加工していくことが一般的です。コイル材は、いったん順送プレス機などにセットすると、まるでトイレットペーパーのように少しずつ材料をだしていき、コイルがなくなるまで材料の再セットの手間がありません(最初と最後は若干廃棄する必要はありますが)。

この鋼帯は、さらに幅によって呼び名が変わることがあります。例えば熱間圧延鋼板の薄板をロールした鋼帯であれば、幅600mm未満のものを巻き取ったコイル材を熱延帯鋼と呼び、幅600mm以上のコイルを熱延広幅帯鋼と区別します。一般には、この丸めたコイルで幅がもっとも大きいものだと2300mmにもなります。

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