炭素工具鋼鋼材(SK材)の用途、機械的性質、成分の一覧
工具鋼のなかでも使用頻度の高い鋼材です。C量が0.6〜1.5%で焼入れ・焼き戻しを行うことで硬度を出すことができる材料で、硬度のほか耐摩耗性にも優れ、切削工具に使われるタイプもあります。ただSK材全般は高温になると硬度が低下する特徴があり、熱の発生の比較的少ないタイプの手工具、例えばヤスリ、カミソリ、刃物、錐、斧、ゲージ、ぜんまい、ペン先、チゼル、刻印、丸のこ等によく使われます。JIS規格では11種類の鋼種について規定されています(以前はSK1、SK2、SK3、SK4、SK5、SK6、SK7の7種類でした)。
SK材は炭素量が0.6%を超えるものと規定されていますが、実際、この炭素量にあると硬度はほとんど変わらず、あとは耐摩耗性や耐衝撃性が変わってきます。機械構造用炭素鋼(SxxC材)との線引きが0.6%になっているのはこうしたことが背景にあります。
SK材の加工にはWA系の研削砥石が使われます。鉄よりも当然硬い材料となりますので、高能率の研削や細かい加工などがいる場合はCBN砥石が使われます。
「JIS G 4401:2009 炭素工具鋼鋼材」に規定のある材料記号
JIS | ISO |
---|---|
SK140 | - |
SK120 | C120U |
SK105 | C105U |
SK95 | - |
SK90 | C90U |
SK85 | - |
SK80 | C80U |
SK75 | - |
SK70 | C70U |
SK65 | - |
SK60 | - |
炭素工具鋼鋼材(SK)の材料記号の新旧対照表
2000年 | 1983年 | 1972年 | 1965年 | 1956年 | 1953年 | 1950年 |
---|---|---|---|---|---|---|
SK140 | SK1 | SK1 | SK1 | SK1 | SK1 | SK1 |
SK120 | SK2 | SK2 | SK2 | SK2 | SK2 | SK2 |
SK105 | SK3 | SK3 | SK3 | SK3 | SK3 | SK3 |
SK95 | SK4 | SK4 | SK4 | SK4 | SK4 | SK4 |
SK90 | - | - | - | - | - | - |
SK85 | SK5 | SK5 | SK5 | SK5 | SK5 | SK5 |
SK80 | - | - | - | - | - | - |
SK75 | SK6 | SK6 | SK6 | SK6 | SK6 | SK6 |
SK70 | - | - | - | - | - | - |
SK65 | SK7 | SK7 | SK7 | SK7 | SK7 | SK7 |
SK60 | - | - | - | - | - | - |
材料記号が変わる場合、化学成分や機械的性質が全く同じということは稀です。したがって、対照表は旧規格が新規格に対応しているわけではありません。
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