スチレン系熱可塑性エラストマー(SBC、TPS)の特徴|比重、耐熱温度、耐薬品性、用途
スチレン系はTPEとしては最もポピュラーな部類で、熱可塑性エラストマーの中では比較的低コストで、ゴムに近い弾性率を持っています。他のTPEよりもやわらかく、硬度の範囲を大きく変えることができます。やわらかめのグレードが揃っているのもスチレン系TPEの特徴です。また他の樹脂との相性もよく、低温物性に優れるなど、ゴムの代替品としても活躍している材料です。
用途としては、靴底、自動車部品、筆記具のグリップ、スポーツ用品、ラミネート用、アスファルトブレンド用、磁気材料用、電子線架橋用などが知られています。
欠点としては、耐熱性や耐油性、耐摩耗性などの面で劣るため、こうした性能が必要な場合、よくよく検討する必要があります。
スチレン系熱可塑性エラストマーの物性、加工性、ハードセグメント、ソフトセグメント、用途などの情報
ゴムの種類 | ポリスチレン系 | |
---|---|---|
記号、略号 | TPS(旧記号ではSBC) | |
生ゴムの性質 | 比重 | 0.95から1.10 |
ムーニー粘度ML1+4(100℃) | - | |
SP値(溶解度パラメータ) | 8.1から8.7 | |
加硫ゴムの物理的性質 | 引張強さ(MPa) | 14.7から29.4 |
伸び(%) | 720から1200 | |
硬さ(JIS-A) | 45から98 | |
反発弾性(%) | 45から65 | |
圧縮永久歪み(%) | 30から45 | |
体積固有抵抗(Ω・cm) | 1015から1016 | |
耐電圧(kV/mm) | − | |
誘電率(Hz) | − | |
低温脆化温度(℃) | −30から−40℃ | |
連続耐熱使用温度 | 60から70℃ | |
燃焼性 | 可燃 | |
耐候性 | ×〜○ | |
耐油性 | × | |
耐熱水性 | ○ | |
耐溶剤性 | △ | |
加工性 | 射出成形 | ◎(射出成形温度:160から220℃) |
押出成形 | △〜○(金型温度:30℃、収縮0.8から1.8%) | |
主な用途 | 履物、床材、樹脂改良剤、ゴム、アスファルト | |
分子構造 | ソフトセグメント | ポリブタジエン、ポリイソプレン |
ハードセグメント | ポリスチレン |
熱可塑性エラストマー(TPE)の主な種類と材料記号
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