異品と誤品の違い
誤品(読み方:ごひん)は本来入れるべきものや使うべきものと違うものを代わりに納入してしまうことを意味し、異品(読み方:いひん)とは入っているべきものとは違うものが箱内に入っていることを意味します。どちらも物流品質に影響する代表的な物流不具合のひとつで、会社によってはこれらを区別せずに異誤品(いごひん)と呼んだり、それぞれ独自の定義を行うこともあります。
- 異品と誤品の違い|目次
発生の影響|現場泣かせのクレーム
製造や物流クレームにおけるKPIにもなるので、用語を定義してカウントしたり対策したりしている会社が多いです。原則、発生させないことが目標となります。これを引き起こすと客先に対しては代品をすぐに送り、対策書を提示する必要があります。自動車部品の業界ではなぜなぜ分析等を実施して再発防止を講じる習慣があります。きちんと要因をつかんで対策を行わないと取り扱う箱数や製品数が膨大になりますので、またどこかで起きる可能性があります。後述する通り、内容によってはきわめて重大な損害につながることもあること認識しておくべき不具合です。
客先の目線では迷惑極まりないもので、品質不具合も問題ですが、異なるものが納品されているわけですから、生産計画に必要な数が足りなかったり、検収処理等にも狂いが出てくるため、発生した場合はすぐに誠意のある対応を取る必要があります。とにかく現場では大量の部品を扱うわけですから、このようなことをされるとオペレーションに影響が出てきて、現場担当の手間が増えます。あまりひどい場合は損害賠償はもちろん、取引停止もあり得ます。
物流不具合の種類と図
下図に誤品と異品、その他よく発生する物流不具合の違いを模式図にしてみます。正しい納入が箱内に3個、四角い製品とした場合の事例です。
誤品はもともと工場用語・物流現場での用語なのですが、ビジネスでも使われる業界・業種で意味が異なることがあります。ここでは物流やロジスティックス、納入にかかわる領域での使われ方の例をご紹介します。誤品は基本的に、納入すべき最小単位において、全数量を注文とは異なる品物を納入してしまうことです。例えば、10箱の注文があり、納期通りに納入したがこのうちの1箱が誤品だった、という場合、1箱だけ注文と違うものを納入してしまったというケースです。
異品は、異品混入といったりもしますが、誤品混入とはいいませんので、この図のように異品は何か別のものが箱内に混ざってしまっていることです。箱内に本来入っているべきものではないものが取り違えて入っている物流不具合のことを指します。形状が同じで仕様が異なるものなどは、識別のペイントを付ける等で誤って組付けられないようにしますが、異品のある箱を知らずに使って完成品を作ってしまうと、その完成品は使えなくなりますので、回収、リコール等大事になります。同一形状で見た目の区別がつかない製品を複数種類納入している場合は誤品でもこうしたリスクがあります。
納入する際の箱についても客先や納入先と納入仕様書や梱包仕様書などで取り決めていることが多いかと思いますので、使用する箱を間違えてしまうのも不適合となり、これらも誤品と言われることがあります。梱包方法も同様です。中に緩衝材やビニールを入れる、仕切りを入れるなどの特別な仕様を取り交わしているのに、それらが入っていない、或いは別の梱包材や荷材を使っているケースです。
発生時の対策
誤品の対策は、照合です。誤品照合と呼ばれる3点照合をハンディターミナルを使用してバーコードにて照合するケースが多いです。その運用に何か問題があるなら、照合手順の見直しを行います。ただしこれは誤品が出荷場で起きるという想定のものです。工場で完成品に仕上げ、工場出しを行うときの箱に詰められますが、このときには正しく詰められており、箱にも正しいラベルやかんばん、現品票がついており中身とは完全に一致しているという前提です。
異品の場合は、誤品よりも発生要因が複雑なケースが多く、対策も発生個所でかなり異なっています。例えば、輸送中にトラックが揺れて品物が飛び出し、隣の箱に入ってしまったというようなケースと、工場から出す際に箱内に詰めるときに起きたケース、製品を検査したり、客先納入用の箱に詰め替えるときに起きるケースでは対策が異なってきます。
生産ラインを分けたり、製品に識別のための色やペイントをつける、色を検知する設備を導入して人に照合させない、詰め替えを行わない(工程内の箱を最後まで使用する)、といった方法も考えられます。
いずれにせよ発生箇所を特定し(特定できない場合も多いのですがその場合は消去法で)、なぜ起きたのか、どのような仕組みならば起きないのか、誰がやっても大丈夫かという点を主眼に対策を組み立てて、客先へ説明・再発防止を約束する必要があります。もし再発する場合は、対策がそもそも有効ではないか、原因が誤っているか、手順を守らせる手法に何か問題があるか等を再度関係者で検討していくことになります。
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