海上輸送で運ぶものの特徴
海上輸送で運ぶものの特徴は以下のいずれかに該当するものが多いです。
- 1.納期がある程度かかってもよい
- 2.なるべく安い輸送費である程度の物量を運びたい
- 3.航空機輸送で制限のある危険物である
- 4.大きすぎて航空機に入らない
航空輸送で運ぶものの特徴の逆を考えると、それがそのまま海上輸送品の特徴にもなります。
- 海上輸送で運ぶものの特徴|目次
詰めるほど安くなる船便
物量ベースで見れば、世界の貿易のほとんどは海上輸送で行われており、運ばれるものはエネルギーや原料から、自動車、機械、食料、様々な消費財などほとんどあらゆるものの国際間の輸送に使用されます。なかでもメインで使われるのがコンテナ輸送です。20ft(20フィート)コンテナまたは40ft(40フィート)コンテナに、荷物を詰め込み、そのコンテナを大量にコンテナ船に積み込んで、出発地から着地まで輸送する方法により、海上輸送の世界は飛躍的に変わりました。
FCLはコンテナ借り切り、LCLは運びたいものだけ
コンテナ輸送にも、20ftまたは40ftのコンテナを一本借り切って、好きなように詰めて運ぶフルコン(FCL)と、輸送業者に依頼し、他社とコンテナをシェアしながら運ぶLCLがあります。
20ftコンテナは、1本あたりで輸送費が決まりますので、コンテナの中でパレットを二段積みすると20パレットほどは入り、満載に近いほど製品1つ当たりの輸送費が下がります。このため、運ぶものがあまりないときは、1パレット当たりの輸送費が若干割高になりますが、LCLを使用すると、1パレットや2パレットといった単位の貨物でも、コンテナをすかすかにせずに運ぶことができます。
コンテナはかなりの貨物が入りますので、例えば40ft満載に近い状態にして運ぶと、その中に入っている製品1個当たりの単価が安くなります。数をたくさん運べるものほど輸送費は安くなるということになります。例えば、1コンテナに160万個入るのであれば、海上輸送を1コンテナ16万円で行ったとして、160,000円÷1,600,000個の計算になりますので、1個あたりの輸送費は0.1円ということになります。
船便とエアー便の納期の違い
輸出・輸入のいずれでも船便とエアー便をどちらを使うべきか迷う局面が出てきますが、航空輸送との最大の違いはコストと納期です。エアー便であれば出発地から納入先までかかってもおおむね1週間から10日、早ければ3日程度で着いてしまうものもあります。
一方、船便は隣の中国や韓国であっても、出発から納入までは2週間程度、場合によってはそれ以上見ておく必要があります。船便でも、貨物輸送を主とするコンテナ船ではなく、主に人を載せて運航するフェリー便を使う場合は1週間程度、状況によっては航空機を使うエアー便とほぼ同程度の時間で運ぶことができます。
納期を優先したいという場合は、航空輸送を選ぶことになります。船便は航路が長かったり、混雑する港を経由したり、天候がよくない季節・ルートだったりすると頻繁に遅延も起きますので、ある程度余裕をみた輸送計画を組みます。欠品が許されない業種での多くの在庫管理担当は、その船が1週間程度遅れても、在庫に支障がないようにはしておき、大幅な遅延情報をキャッチしたら、すぐにエアー便の手配を追加で行うこともあります。
海上輸送か航空輸送かの損益分岐点
海上輸送も常に航空便より安いかと言われるとそうでもなく、荷量が極端に少ない場合、航空輸送のほうが安くなる場合があります。これは海上輸送の場合、最低料金が決まっているためで、例えば手で運べる程度のダンボール箱に1箱運ぶような場合、国際宅配便の航空輸送を使ったほうが、海上でのLCL輸送を行うよりも安くなることがほとんどです。
また、同じ海上輸送でもFCLでコンテナをまるまる借り切って輸送したほうが良いのか、LCLで輸送したほうがよいのかについても損益分岐が存在します。LCLの1パレット当たりの輸送費と、FCLの輸送費を比較すると計算できます。例えばLCLを8パレット輸送するコストと、FCLのコストが同じだった場合、7パレットを運ぶのであればLCLのほうがよく、8パレットからはFCLのほうがよいということになります。
海上輸送でしか運べないもの
昨今は、航空機も大型の貨物専用機があり、トラックや自動車など常識では運べないのではと思われるものも輸送できるようになっていますが、それでもあまりに大きなものは運べませんので、海上輸送に頼ることになります。
また、危険物の種類によっては安全上の理由から航空機への搭載ができないものがあります。これにはいくつかパターンがあり、まず航空輸送の多くは旅客機の貨物室を使うので、乗客ものっていますので、こうした旅客機輸送ではNGというものと、貨物輸送機であっても航空機にはそもそも搭載不可の規制があるものは載せられません。
輸送する危険物には国連番号という固有の番号をつけ、その番号ごとに危険物の種類や取り扱い方法を定めていますので、航空機で輸送ができないと決められている国連番号がついた危険品は、海上輸送で運ぶことになります。
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