支払い条件におけるproxの意味とは

2023年10月2日更新

proxとはラテン語のproximoの略で、もともと「来月の」「翌日の」といった意味を持ちますが、請求書やインボイス、注文書等でこの記載がある場合、定型の用法で使われていることが多く注意が必要です。というのも、proxを支払条件に使うのは米国企業がアメリカの国内取引で使う場合が圧倒的に多く、同国の企業や特に米国企業との取引に縁の深い企業がこれを貿易の支払条件にそのまま転用しているケースも散見され、この場合、相手の指定する支払条件を解読する必要があります。prox termsとも呼ばれます。

貿易に慣れた企業は基本的にこの用法はあまり使いませんが、注文書(PO)や見積書の発行時に、海外取引先とのやり取りでも国内と同様のシステムを使っているような場合、以下のようなproxを使用した支払条件がデフォルトで出てくることも、混乱の一因かもしれません。貿易の支払条件では原則こうした表記方法は使いませんが、そのことを知らない担当者もいるかもしれません。

この用法、基本的に諸外国の企業相手では誤解を招くので、米国企業相手でもない限り、自分から使うのは避けたほうがよいでしょう。

支払い条件におけるproxの意味とは|目次
  1. 起点と終点(支払期日)
  2. アメリカでの支払条件の一覧

起点と終点(支払期日)

proxを使った支払条件の理解のためには、起点(はじまり)がいつか、そのはじまりからいつまでに支払えばよいかの2点をおさえておく必要があります。全ての支払条件について同様のことが当てはまりますが、prox termsの場合、5th 4th prox payment termsのような表現方法が使われるので、一体何に対しての5thなのか4thなのか初見ではわかりにくいです。

また、proxのスタート地点というのは通常、インボイスや請求書の日付が起点になりますが、物品を受領してから、あるいは注文日から等、異なる条件となっていることもありますので不明時は相手に確認しておくとよいでしょう。下表にprox termsをはじめとしたアメリカでの支払条件のバリエーションを順にみていきます。

アメリカでの支払条件の一覧

米国内での取引ではポピュラーな支払条件の表記方法となります。同じ英語とはいえ、これらは米国の国内取引向けのもので、貿易では相手によっては誤解を招くことがあるため、使用する場合は注意する必要があります。

支払条件の一覧
支払条件 期日、意味
5th 4th prox payment terms 支払期日は、インボイスの日付から4カ月後の5日目まで、という支払条件。例えば、10月1日のインボイス日付なら翌年2月5日が支払期日となる。
5th prox 4th payment インボイス日付より4カ月後の5日目が支払期日。上記と同じ。
fifth third prox, 5th 3rd prox 支払期日がインボイスの日付から3か月後の5日目の指定。例えば、インボイスの発行日が3月20日だとしたら、6月5日が支払期日になる、というもの。
Net 10th Prox. 全額を請求書作成日(インボイス日付)の翌月10日までに支払うというもの。
Net 10 インボイス日付から10日以内に全額払う。prox自体の指定がないので翌月ではない。買い手にはかなり厳しい支払条件。
Net 10/eom 月末から10日以内に全額を支払う。
10% net 30 インボイス日付から30日以内に支払えば10%割引というもの。
Net 15th and 30th Prox. 1日〜15日に発行されたインボイスは翌月の15日まで、16日〜月末に発行されたインボイスは翌月の30日までが支払期日になるという支払条件
Net 10th and 25th Prox. 1日〜15日に発行されたインボイスは翌月の10日まで、16日〜月末に発行されたインボイスは翌月の25日までが支払期日になるという支払条件
Net 25th Instant or 10th Prox. 1日〜15日に発行されたインボイスは当月の25日まで、16日〜月末に発行されたインボイスは翌月の10日までが支払期日になるという支払条件
5% 20th Prox. インボイス日付の翌月の20日までに支払った場合5%割引になるというもの。
2% 10th & 25th Prox. 1日〜15日に発行されたインボイスにつき翌月の10日までに支払うと2%割引、16日〜月末に発行されたインボイスは翌月の25日まで支払うと2%割引になるという支払条件
1/10 Net 30 インボイス日付の10日以内に支払うと1%の割引。そうではない場合、全額をインボイス日付の30日以内に支払う。
PIA、Pay in advance 先払い条件。売り手に最も有利な支払条件。買い手には最も不利。
CIA、Cash in advance 現金(通常、電信送金含むことが多い)での先払い。売り手に最も有利な支払条件。買い手には最も不利。

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