門前倉庫とは
門前倉庫(読み方:もんぜんそうこ)とは、取引先や納入先の近くに納入品を在庫しておく倉庫のことを意味し、門前物流倉庫やデポとも言われます。
納入先や客先から注文をもらって納入するまでの猶予が短い場合、門前倉庫を活用して即納体制を構築することが一般的です。例えば自動車部品をかんばん方式で発注するトヨタやその影響下にある企業の場合、短いものだと注文が入った当日や翌日に納入が必要となるものがあります。
この場合、内示に基づいて製品を在庫しておくことは必須ですが、在庫があったとしても注文を受けて荷揃えして納品書等の伝票を準備してトラックに積み込み、指定時間までに納品するというリードタイムを考えると、客先の納入場所が離れすぎているとそもそも在庫があっても間に合わなくなります。
加えて、納入時間が細かく指定されていたり、一日に複数回の納入がある多回納入方式だったりした場合には、長距離をトラックで走って小刻みに納入することが困難です。できなくてはないでしょうが、コスト高になってしまいます。
ごく一部、注文を受けてから作って出荷するということが可能なものもありますが通常は部材の仕入れから生産人員の手配・計画をはじめ前もって準備しておかねば間に合いません。この為、自動車部品業界では客先の工場の近くにデポを構える慣習を持ちます。
デポを自前で建てるのもコストがかかりますので、こうした納入業務を請け負う専門のデポと契約することもよく行われます。特定の自動車メーカーへの納入業務の経験豊富なデポの場合、かんばんの取り回しや納入慣習等客先の事情に精通しているため、自動車メーカー側のほうから部品メーカーに対して紹介されることもあります。
なお、対客先への引き渡しの条件や輸送責任の範囲等は慣習によるところが多い業界ですが、はじめて取引する場合は客先とよく確認しておく必要があります。例えば、門前倉庫まで客先が仕立てたトラック便で集荷に来る場合、トラックに積み込みするのは誰なのか、積み込みした時点で自社の輸送責任は完了するのか(トラックに積み込んだ以降の転倒や荷崩れはどちらの責任か)といった点をクリアにしておかないとトラブルになった際もめることがあります。
自動車業界で使用されているミルクランの場合、輸送便は客先が仕立てていますが、その輸送便に載った時点、集荷された時点では売り上げが上がらず、客先側でも検収を上げないことが一般的です。
メリット | デメリット |
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