材源とは
材源(読み方:ざいげん)というのは、材料の源(みなもと)と書いて材料の原資やその元になる在庫のことを意味しています。原材料そのものを意味していることもあります。通常の漢字変換では、同じ読みである「財源」が出てきますので、メール等のやり取りでは誤変換ではあるもののこちらの用語があてられていることもあります。いわゆる業界用語に近いため、辞書にも掲載されていない用語です。
業界によりますが鋼材の分野で使われる場合、鋼の母材の在庫のことを意味している場合があります。鋼材は鉄鋼メーカーにて生産から出荷までかなり長期間かかるため、取り扱いの商社が在庫等を持ちながら使用者に販売する形態がとられます。コイル材であれば、使用者と取り決めた任意の幅にカットして提供しますが、そのもとになる材料を母材として在庫しておきます。その際に材源といった場合は、注文に対して引当可能な母材のことを言っており、母材があればそこからスリット加工して必要な鋼材をユーザーへ販売できますし、これがない場合は市中材等から探してくることになります。
足元材源や足元財源が不足といった場合、目下、現時点で目先の材料となる母材が不足していることを意味しますので、鋼材の調達に時間がかかることを意味しています。
どの分野でも原材料が切れてしまえば当然生産ができず、顧客の注文にこたえることもできなくなります。このため、材源をいかに切らさないよう確保しておくかという点が重要となりますが、一方で見込みでこうした材料を在庫していても注文がなくなったり、打ち切りなどで量産での生産が終わってしまうというようなことになると、材料を転用でもしない限り損失が発生してしまうことになります。
転用する場合も例えば鋼材であれば、鋼種のほか、材料の幅や厚みも決まっており、よしんば種類が同じでもすでにスリット加工してしまっている在庫であれば、転用先のサイズに合わせるための加工費用と廃棄分の費用は掛かってしまうことになります。
材料はいずれも母材レベルになると調達に時間がかかるのが常であるため(3〜4か月)、長期の需要予測を見ながら確保するということになりますが、打ち切りにより材料が余ってしまった場合は販売側が買い手に対して補償請求することもあります。この際の費用負担はあらかじめ取り決めがないと慣習に従って処理ということになりますが、企業間でこの慣習も異なることがあり、余った材料の費用負担でもとめることもあります。
材源の確保は、販売側が情報を集めて行うこともあれば、購入側があらかじめ長期予測情報などを送っておく、という方法もよくとられます。自動車部品の場合であれば、鋼材商社に対して長期予測や量産立ち上げ時期の情報等もあわせて展開しておき、事前に材源確保を依頼することも一般的です。
多くの産業のサプライチェーンでは、いわゆる上流にあるのがこの材料分野になりますので、その調達価格の上昇や供給難が発生すると様々な分野での供給不安につながっていきます。
スポンサーリンク