英語名刺の作成ガイド|正しい書き方とビジネスマナー

2024年8月11日最終更新 Written by 海外営業部

英語で名刺は「business card」と言いますが、これは英語圏をはじめ、世界中のビジネスパーソンにとって共通のアイテムです。日本においても名刺交換は非常に重視されていますが、国際的なビジネスシーンでも名刺交換は重要な役割を果たしています。ここでは、英語名刺の正しい書き方やビジネスマナーについて、具体的な事例や注意点を交えながら解説します。

英語名刺の基本構成

英語名刺の構成は、日本語の名刺とほぼ同じですが、いくつかの違いがあります。まず、英語名刺では氏名を「ファーストネーム」→「ファミリーネーム」の順に記載するのが一般的です。また、部署名や役職名については、自社で統一された英訳を使用することが求められます。以下に詳細を見ていきます。

部署名

部署名については、自社の英文での部署名を割り当てることになります。もし決まっていないようであれば、社内で話し合い、社外に対しては統一したものにしておく必要はあります。諸外国のビジネスパーソンたちの名刺には、部署名がないものも多いです(このあたりの事情は会社によりけりですが)。部署名がない場合、自分の職種や役職、サービス内容などが書かれています。

役職名

役職のある人の場合は、あわせて併記するとよいでしょう。海外のビジネスパーソンの中には、自分の仕事内容、担当内容がわかるように具体的な担当業務名を記載しているケースもあります。あるいは役職がない場合でも、purchasing specialistといった書き方もあります。

会社名

会社名の表記については、日本国内の法人登記には必要ないため、あやふやにしている会社や、同じ会社なのに人によって表記が違う場合もあります。こちらも社内で決められた統一的な名称を使うべきでしょう。

住所

英文での住所表記の方法についても、社員ごとに書き方が違っていては格好がつきませんので、正式な名刺へ記載する英文住所の書き方については、統一しておくほうがよいでしょう。

電話番号(内線)

英語の名刺の場合、国番号から記載するとよいでしょう。また、職種やビジネスの進め方によっては携帯電話の記載があったほうがよいこともあります。この場合、cell phoneの番号も記載しておくとよいでしょう。

なお、内線番号などをつけることもあります。この場合、ExtensionやExと書かれている部分が内線を示しています。

ウェブサイトのアドレス

昨今は、日本の製造業でも英語版の専用サイトを構築して海外顧客開拓やコミュニケーションの深化をはかっているところは多いかと思います。日本語のサイトのURLを載せるのではなく、英語版のURLを記載することが必要ですが、日本語サイトのドメイン内のディレクトリ違いに/english/等として英語版を公開するよりは、英語版のサイトはドメインそのものも取得したほうが何かと便利です。

国ごとにドメインを別にしてウェブサイトを作り分けている会社もあります。

メールアドレス

近年はメール抜きではビジネスが成り立たないほどになっていますので、スペルミス等がないかよくよく確認の上、記載するとよいでしょう。特にハイフンやアンダースコアなどについては上下の段と重ならないようにし、見間違えないようにするとよいでしょう。

氏名の書き方と文化的違い

英語名刺において、氏名は「ファーストネーム」→「ファミリーネーム」の順に記載するのが一般的ですが、文化的な違いを考慮することも重要です。例えば、中国や韓国では、名刺に「苗字→名前」の順で表記することが一般的であり、日本式の順序にこだわる場合は相手に説明が必要です。さらに、日本人の名前をローマ字で表記する際、どの方式を採用するかも議論されることがあります。具体的には、「Taro Yamada」や「Yamada Taro」のように書き方を変える場合があります。

なぜか日本人は大文字を多用したがる傾向があります。大文字の多用は時に奇異な印象を与えますので、状況に応じて使い分けるとよいかと思います。

部署名と役職の表記ルール

部署名については、社内で統一された英訳を使用することが必要です。日本企業では、部署名や役職名が長い場合が多く、名刺にすべてを記載すると冗長になりがちです。このため、相手が理解しやすいように、略語を使ったり、簡潔な表現を心がけることが重要です。また、役職名についても、英語圏では役職を具体的に記載することが一般的であり、例えば「Manager」や「Director」の他に、「Project Manager」や「Sales Director」のように、具体的な業務内容を明示する表現が好まれます。

具体的なビジネス用例
英語例 日本語訳
John Smith, Sales Manager, XYZ Corporation ジョン・スミス、営業マネージャー、XYZ株式会社
Yoko Tanaka, Marketing Specialist, ABC Ltd. 田中陽子、マーケティングスペシャリスト、ABC株式会社
Tom Brown, R&D Director, DEF Inc. トム・ブラウン、研究開発部ディレクター、DEF株式会社
Mary Johnson, HR Manager, GHI Enterprises メアリー・ジョンソン、人事マネージャー、GHIエンタープライズ
Takashi Nakamura, IT Consultant, JKL Global 中村隆、ITコンサルタント、JKLグローバル
Emily Davis, Financial Analyst, MNO Corp. エミリー・デイビス、財務アナリスト、MNO株式会社
Kenji Sato, Operations Manager, PQR Limited 佐藤健二、オペレーションマネージャー、PQR有限会社
Sarah Clark, Creative Director, STU Co. サラ・クラーク、クリエイティブディレクター、STU株式会社
David Miller, Finance Manager, VWX Holdings デビッド・ミラー、財務マネージャー、VWXホールディングス
Susan Moore, Strategy Consultant, YZA Inc. スーザン・ムーア、戦略コンサルタント、YZA株式会社
Robert Taylor, General Manager, XYZ Corporation ロバート・テイラー、ゼネラルマネージャー、XYZ株式会社
Linda Thomas, IT Director, ABC Ltd. リンダ・トーマス、ITディレクター、ABC株式会社
James Harris, Product Manager, DEF Inc. ジェームズ・ハリス、プロダクトマネージャー、DEF株式会社
Naoko Suzuki, Senior Engineer, GHI Enterprises 鈴木直子、シニアエンジニア、GHIエンタープライズ
Charles Walker, Logistics Director, JKL Global チャールズ・ウォーカー、物流部ディレクター、JKLグローバル
Barbara White, Marketing Director, MNO Corp. バーバラ・ホワイト、マーケティングディレクター、MNO株式会社
Steven Martin, Compliance Officer, PQR Limited スティーブン・マーティン、コンプライアンスオフィサー、PQR有限会社
Ayumi Kato, Sales Representative, STU Co. 加藤あゆみ、営業担当者、STU株式会社
Mark Robinson, Treasurer, VWX Holdings マーク・ロビンソン、財務担当、VWXホールディングス
Carol Young, Strategy Manager, YZA Inc. キャロル・ヤング、戦略マネージャー、YZA株式会社

名刺のデザインと用例

名刺のデザインについては、業界の慣習やターゲットとする相手に応じて選ぶことが重要です。例えば、クリエイティブ業界では、ユニークなデザインやカラフルな配色が好まれますが、金融業界では、シンプルでフォーマルなデザインが一般的です。

最もシンプルなサンプルとしては下図のようなものとなります。

英語の名刺サンプル

名刺のフォント

フォントについては、個性やカラーを出したいと言うのであれば、こだわったものを用いるのも一つの方法ですが、ほとんどの海外企業の名刺はビジネスレターに使われるものと同じフォントが使われます。あまりファンシーなものを用いると、業界によっては奇異な印象を与えることになります。

読みやすく、スペルを誤解しにくいフォントがよいでしょう。1枚の名刺の中にあまりにもたくさんの異なるフォントが使われていると見辛いので、いくつかに絞るか、統一したほうがよいと思います。

名刺のサイズ

日本では一般に、4号と呼ばれるサイズで、寸法は「91mm×55mm」が名刺の寸法ですが、諸外国では下表のような名刺サイズとなります。

海外のみで営業する、と言うような場合は名刺の寸法についても考慮してもよいかもしれません。日本の場合、ほとんどの会社で使われる名刺のサイズが同じですが、外国では同じ国であっても名刺のサイズが違うものはよくあります。

日本と海外の名刺のサイズ
主に採用されている国名 名刺サイズ(mm)
日本 91×55
アメリカ、カナダ 88.9×50.8(3.5インチx2インチ)
中国、香港、マレーシア、シンガポール、華僑圏 90×54
EU圏、ヨーロッパ諸国、アイルランド、イタリア、イギリス、フランス、ドイツ、オーストリア、オランダ、スペイン、スイス、ベルギー、ポルトガル、スロベニア、トルコ等 85×55
オーストラリア、ニュージーランド、オセアニア圏、ノルウェー、スウェーデン、北欧、ベトナム、インド、コロンビア、台湾等 90x50
スリランカ、ブラジル、インド、アルゼンチン、ロシア、チェコ、ハンガリー、東欧諸国、ポーランド、ウクライナ、ブルガリア、メキシコ、韓国、南アフリカ共和国 90x50
[参考]ISO 216によるA8標準サイズ 74x52

名刺の紙色

白やクリーム系の色が多いですが、目立つ色や覚えてもらうために他と差別化したデザインを使うケースもあります。海外の名刺は白地に文字だけと言うものは少ないと感じます。

なお、会社のロゴはきちんと取り決めた色を指定してカラーで印刷しておくとよいでしょう。

名刺の紙質

最低条件として、印字がにじまないものを使う必要があります。

直接手で触れるものであるため、独特の質感のあるものや、レリーフつきのもの、通常の紙とは違うものを使って目立たせる工夫をしている会社もあります。最近は、紙以外のプラスチック類や商売に関係のある素材を使っている名刺もあります。

ビジネスでの誤解を防ぐためのポイント

名刺交換において、文化的な違いや慣習の違いから誤解が生じることがあります。例えば、日本では名刺交換の際、名刺を両手で渡し、相手の名刺を慎重に取り扱うことが礼儀とされています。しかし、他の国ではこのような儀式的な行動がない場合があり、日本式の丁寧な取り扱いが相手に奇異な印象を与えることもあります。

また、名前の順序や役職の表記が異なることで、誤解が生じることがあります。例えば、日本では「部長」という役職が非常に重要とされていますが、英語圏では「Manager」や「Director」といった役職の方が一般的に重要視されます。このため、役職を英訳する際には、その文化的背景やビジネス慣習を理解し、適切な表現を選ぶことが求められます。

最後に、名刺のデザインや内容が文化的に受け入れられるかどうかも考慮することが重要です。例えば、派手なデザインや奇抜な色使いは、国や業界によっては不適切とされる場合があります。また、フォントやレイアウトにも注意を払い、読みやすく、視覚的に心地よい名刺を作成することが、ビジネスでの成功に繋がります。

国別の名刺交換の慣習と失敗例

国際ビジネスでは、名刺交換の文化や慣習が国によって異なるため、その違いを理解しておくことが重要です。以下に、名刺交換に関する慣習と、よくある失敗例や誤解についてまとめました。

国別の名刺交換の慣習と失敗例
名刺交換の慣習 失敗例・誤解
日本 両手で丁寧に渡す。名刺を受け取る際も両手で受け取り、名刺をすぐにしまわない。 片手で名刺を渡したり、すぐに名刺をしまうと失礼とされる。
アメリカ ビジネスの序盤でカジュアルに交換する。名刺に手書きで情報を追加することもある。 日本のように儀式的に名刺交換を行うと、堅苦しい印象を与えることがある。
中国 名刺を両手で渡し、相手の名刺をしっかりと読み、尊重する姿勢を見せる。 名刺を片手で渡すと失礼とされる。また、名刺に書かれた情報を軽視する行為は避けるべき。
イギリス 名刺交換はビジネスの開始時ではなく、商談が進んだ後に行われることが多い。 初対面で名刺交換を強引に行うと、不自然に感じられることがある。
フランス 名刺はフランス語と英語の両方で表記するのが望ましい。ビジネスタイトルが重要視される。 英語のみの名刺は、フランス人に不快感を与える可能性がある。
ドイツ 名刺は清潔で整理された状態で渡す。ビジネスの序盤に交換する。 名刺が汚れていたり、名刺を雑に扱うと、信頼性が損なわれる。
インド 名刺を受け取る際、名刺をすぐに読む。相手の肩書きに敬意を示す。 名刺を受け取った後、すぐにしまうと相手に失礼と感じられることがある。
ブラジル 親しい関係を築いてから名刺を交換することが多い。カジュアルな雰囲気で行われる。 初対面で名刺を急いで交換しようとすると、焦りや不信感を与える可能性がある。
シンガポール 名刺は両手で渡し、相手の名刺を丁寧に扱う。多言語での表記が推奨される。 名刺を片手で渡したり、受け取った名刺をすぐにしまうのは失礼。
韓国 名刺交換は両手で行い、受け取った名刺を丁寧に扱う。肩書きを重視する。 名刺を雑に扱ったり、相手の肩書きを軽視すると、信頼関係に悪影響を及ぼすことがある。

名刺交換において、各国の文化やビジネスマナーを理解し、適切に対応することは、ビジネスの成功に欠かせません。特に、名刺交換の方法や名刺の扱い方がその後のビジネス関係に大きな影響を与えることがあるため、相手国の慣習を尊重し、慎重に行動することが求められます。上記のポイントを参考に、国際ビジネスシーンでの名刺交換を円滑に進めましょう。

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