MC2E、AZ91E(マグネシウム合金鋳物)の物性、成分、組成、機械的性質、硬度|マグネシウム合金鋳物の種類、特性や用途

2013年8月22日更新

MC2E(AZ91E)はMC2Cよりも耐食性に優れたマグネシウム合金鋳物です。アルミ、亜鉛をベースにしたマグネシウム合金であるAZ91Eとも称呼されます(ASTMでの名称)。機械的性質や物性についてはほとんどMC2C、AZ91Cと同等で、ISOではMgAl9Zn1(A)が相当するマグネシウム合金の鋳造品となります。

用途もMC2Cとほとんど同じですが、耐食性がこちらのほうが優れる分、こうした用途での実績もあります。テレビカメラ、ビデオカメラ、カメラ部品や筐体、電動工具などの工具類の部分品として使われることもあります。実用上は材料記号で識別されることが多いですが、JISでは鋳物2種Eとも区分されます。

MC2E、AZ91Eの成分、組成

RE※はRare earthの略でイットリウムを除く希土類元素となります。

MC2E 、AZ91Eの成分、組成
マグネシウム合金鋳物 化学成分
Mg Al Zn Zr Mn RE※ Y Ag Si Cu Ni Fe その他
MC2E、AZ91E 残部 8.1から9.3 0.40から1.0 0.17から0.35 0.20以下 0.015以下 0.0010以下 0.005以下 0.01以下

MC2E、AZ91Eの引張強さ、耐力、伸び、硬度、熱処理、溶体化処理|機械的性質

MC2E、AZ91Eの機械的性質
マグネシウム合金鋳物 熱処理、調質の内容 記号、質別記号、調質記号 引張試験 硬度
ブリネル硬さ
HBW
溶体化処理 時効硬化処理
引張強さ
N/mm2
耐力
N/mm2
伸び
温度
±6℃
最高温度
時間
h
温度
±6℃
時間
h
MC2E、AZ91E 鋳造したまま MC2E-F 160以上 70以上 - 50から65 - - - - -
溶体化処理 MC2E-T4 240以上 70以上 6以上 55から70 412 418 16から24 - -
時効硬化処理 MC2E-T5 160以上 80以上 2以上 60から70 - - - 168
216
16
4
溶体化処理後時効硬化処理 MC2E-T6 240以上 110以上 2以上 60から90 412 418 16から24 168
216
16
5〜6

MC2E、AZ91Eの熱伝導率、電気伝導率、熱膨張係数、比熱、比重、密度

熱による影響や電気特性をより詳細に見ていくと以下の通りとなります。MC2Cと基本的には変わりません。

MC2E、AZ91Eの熱的特性、電気特定、弾性係数など
マグネシウム合金の種類 MC2E、AZ91E
液相線温度(℃) 595
固相線温度(℃) 470
凝固温度範囲(℃) 125
溶融潜熱(kJ/kg・K) 373
比熱(kJ/kg・K)(室温) 1.05
熱伝導率(W/m・K)(20℃、砂型) F: 53.6
T5: -
T4: 45.8
T6: 56.2
電気伝導度(20℃、%IACS) F: 11.5%
T4: 9.9%
T6:11.2%
熱膨張係数(μm/m・K)(20℃〜100℃) 26
比重、密度(g/cm3)(20℃) 1.81
縦弾性係数(kN/mm2)(20℃) 45
横弾性係数(kN/mm2)(20℃) 17
鍛造温度(℃)
砂型
金型
705から845
650から815

「JIS H 5203 マグネシウム合金鋳物」に規定のある材料記号

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