MC2E、AZ91E(マグネシウム合金鋳物)の物性、成分、組成、機械的性質、硬度|マグネシウム合金鋳物の種類、特性や用途
MC2E(AZ91E)はMC2Cよりも耐食性に優れたマグネシウム合金鋳物です。アルミ、亜鉛をベースにしたマグネシウム合金であるAZ91Eとも称呼されます(ASTMでの名称)。機械的性質や物性についてはほとんどMC2C、AZ91Cと同等で、ISOではMgAl9Zn1(A)が相当するマグネシウム合金の鋳造品となります。
用途もMC2Cとほとんど同じですが、耐食性がこちらのほうが優れる分、こうした用途での実績もあります。テレビカメラ、ビデオカメラ、カメラ部品や筐体、電動工具などの工具類の部分品として使われることもあります。実用上は材料記号で識別されることが多いですが、JISでは鋳物2種Eとも区分されます。
MC2E、AZ91Eの成分、組成
RE※はRare earthの略でイットリウムを除く希土類元素となります。
マグネシウム合金鋳物 | 化学成分 | |||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Mg | Al | Zn | Zr | Mn | RE※ | Y | Ag | Si | Cu | Ni | Fe | その他 | ||||||
MC2E、AZ91E | 残部 | 8.1から9.3 | 0.40から1.0 | − | 0.17から0.35 | − | − | − | 0.20以下 | 0.015以下 | 0.0010以下 | 0.005以下 | 0.01以下 |
MC2E、AZ91Eの引張強さ、耐力、伸び、硬度、熱処理、溶体化処理|機械的性質
マグネシウム合金鋳物 | 熱処理、調質の内容 | 記号、質別記号、調質記号 | 引張試験 | 硬度 ブリネル硬さ HBW |
溶体化処理 | 時効硬化処理 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
引張強さ N/mm2 |
耐力 N/mm2 |
伸び % |
温度 ±6℃ |
最高温度 ℃ |
時間 h |
温度 ±6℃ |
時間 h |
||||
MC2E、AZ91E | 鋳造したまま | MC2E-F | 160以上 | 70以上 | - | 50から65 | - | - | - | - | - |
溶体化処理 | MC2E-T4 | 240以上 | 70以上 | 6以上 | 55から70 | 412 | 418 | 16から24 | - | - | |
時効硬化処理 | MC2E-T5 | 160以上 | 80以上 | 2以上 | 60から70 | - | - | - | 168 216 |
16 4 |
|
溶体化処理後時効硬化処理 | MC2E-T6 | 240以上 | 110以上 | 2以上 | 60から90 | 412 | 418 | 16から24 | 168 216 |
16 5〜6 |
MC2E、AZ91Eの熱伝導率、電気伝導率、熱膨張係数、比熱、比重、密度
熱による影響や電気特性をより詳細に見ていくと以下の通りとなります。MC2Cと基本的には変わりません。
マグネシウム合金の種類 | MC2E、AZ91E |
---|---|
液相線温度(℃) | 595 |
固相線温度(℃) | 470 |
凝固温度範囲(℃) | 125 |
溶融潜熱(kJ/kg・K) | 373 |
比熱(kJ/kg・K)(室温) | 1.05 |
熱伝導率(W/m・K)(20℃、砂型) | F: 53.6 T5: - T4: 45.8 T6: 56.2 |
電気伝導度(20℃、%IACS) | F: 11.5% T4: 9.9% T6:11.2% |
熱膨張係数(μm/m・K)(20℃〜100℃) | 26 |
比重、密度(g/cm3)(20℃) | 1.81 |
縦弾性係数(kN/mm2)(20℃) | 45 |
横弾性係数(kN/mm2)(20℃) | 17 |
鍛造温度(℃) 砂型 金型 |
705から845 650から815 |
「JIS H 5203 マグネシウム合金鋳物」に規定のある材料記号
スポンサーリンク
>このページ「マグネシウム合金の種類、特性や用途についての一覧」の先頭へ
- 加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
- マグネシウム合金の一覧
マグネシウム合金の種類、特性や用途についての関連記事とリンク