STB鋼管|ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管の種類と特徴

2014年2月12日更新

JISにより規格化されているSTB鋼管は、正式名称をボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管と呼びますが、鋼管の中でも熱の受け渡しを行うための特殊な炭素鋼管について規定した規格です。大きさは主に外径が15.9mmから139.8mmのものが想定されており、その用途やボイラーや化学工業用をはじめとする各種の熱交換器、排煙装置に使うための煙管、過熱器、空気予熱器、またコンデンサ管や触媒管といった利用環境がきわめて厳しい用途を想定した鋼管です。

高精度で耐熱性、耐食性が求められるSTB鋼管

こうしたボイラー等に用いられる熱伝達用の管は、長期使用が前提となることが多いだけでなく、高い精度(寸法、内面・外面、材質)が要求され、均一で安定した品質をも求められます。このため、規格では成分、機械的性質、伸び、扁平性、押し広げ性、展開性、水圧試験特性、非破壊試験特性といった通常の鋼管ではあまり要求されない部分にまで要求事項が及びます。

排煙設備に使う場合、排ガス温度は130℃〜180℃前後のものにガスに硫黄や塩素を含む場合もあり、通常の鋼材では腐食に耐えることができません。また、再熱器管、ボイラー管に使うのであれば、蒸気温度は600℃前後ともなりますので、高温強度が必須です。鋼管を設備に組み込む都合上、パイプ同士をつなぐための溶接も必須となる為、優れた溶接性もポイントとなります。溶接部の腐食や破損に強いことが求められます。くわえて、内外から圧力がかかるため、優れたクリープ破断強度、耐水蒸気酸化性、曝露環境に応じた耐食性も要求されます。

JISにおけるSTB鋼管は3種類が規定されており、製管方法と仕上げ方法の組み合わせの数だけパターンが存在します。鋼材はキルド鋼を用いることになっています。

用途で選択するSTB鋼管の製管方法と仕上げ方法の組み合わせ

STB鋼管の製管方法と仕上げ方法
製管方法 仕上げ方法 表示例
継目無し:S
電気抵抗溶接:E
熱間仕上げ:H
冷間仕上げ:C
電気抵抗溶接まま:G
電気抵抗溶接まま鋼管:-E-G、熱間仕上電気抵抗溶接鋼管:-E-H、冷間仕上電気抵抗溶接鋼管:-E-C
熱間仕上と冷間仕上の違い
仕上げ方法 表示記号 特徴
熱間仕上継目無鋼管 -S-H 製管能率が高いため、コスト面で有利です。また製造設備によっては大径肉厚鋼管や大径薄肉も可能となります。面が平滑にすることができ、偏肉(鋼管の厚みのバラつき)が少ないとされます。
冷間仕上継目無鋼管 -S-C 寸法が正確で、そのバラつきが少ないことが最大の特徴です。内面、外面の仕上がりが美しいという特徴もあります。

一般に、継目無し鋼管であるシームレスの方が優れますが、電気抵抗溶接をした電縫鋼管もこれに匹敵する高品質なものも存在します。過酷な環境でも使用に耐えうるよう、用途に合わせて、鋼管メーカーにより非常に高品質なものも開発されてきています。

電気抵抗溶接鋼管をボイラー用途で用いることについては、以前は溝食(溝状腐食)の発生により問題視されることもありましたが、鋼材成分中の硫黄濃度を下げ、溶接後に焼きならしをはじめとする熱処理を行うといった解決策も解明されています。溝状腐食とは、電気抵抗溶接部に発生するV字形の腐食のことですが、従来はこの現象により鋼管がやられてしまうため、シームレス鋼管一択という状況でした。

「JIS G 3461 ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管」(2012年)に規定のある材料記号

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