荷送人と荷主の違い

2022年9月17日更新

荷送人(読み方:におくりにん)と荷主(読み方:にぬし)は、貿易においては同じもので違いはないことがほとんどです。荷主には三つの意味があり、ひとつは荷物の持ち主、二つ目が運送人と運送契約を結ぶ当事者のことで、三つ目の意味がB/L上(つまり貿易の上で)の輸出者や荷物の送出人のことです。運送人と運送契約を結ぶ当事者という意味では「依頼主」とイコールでもあります。

この運送人と運送契約を結ぶ当事者という意味で見ると、貿易条件によっては貨物を受け取るほうが輸送会社と契約しますので、荷受人が荷主という見方ができます。

ただしこれではややこしく、この場合、荷物を受け取る側にいる荷主のことを「受荷主」といって区別する場合もあります。

運送約款などで「荷主」を、荷送人と荷受人の双方を含むものと定義としている場合があるのは、輸送を担う運送会社の視点で見た場合、貨物を引き取る権利のあるもの=荷物の持ち主を「荷主」としているためで、例えば船荷証券であるB/Lを持っている荷受人や、荷送人から指定された荷受人が「荷主」と呼ばれるためです。

表にまとめると以下の通りになります。

荷送人、荷受人、運送人、フォワーダーの意味の違い
名称 別名 意味
荷主、荷送人 シッパー、コンサイナー 荷主には、1.荷物の持ち主、2.運送人と運送契約を結び当事者のこと、3.B/L上の輸出者のことの三つの意味がある。このうち、荷送人やシッパーは2と3のいずれかの意味で使われることが多い。
受荷主、荷受人 コンサイニー 貨物の受取人。輸入者と同一のことが多いが異なる場合もある。荷主=輸出者という使われ方もするため、荷物の受け取り側のほうを受荷主として区別することもある。
運送人 キャリアー 自ら輸送手段を持つ船会社や航空会社のこと。実運送人(Actual Carrier)と表現することもある。
利用運送事業者 フォワーダー フォワーダーは自ら輸送手段を持たず、実運送人の輸送手段を用いて輸送のアレンジ・取次をする業者のこと。一般に、よほどの大口契約等でない限り、荷送人と運送人の直接やり取りのみという形での輸送は稀で、フォワーダーを介しての契約となる。
 

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