トヨタかんばんの背番号と所番地とは何か
背番号(読み方:せばんごう)と所番地(読み方:ところばんち)はいずれもトヨタ生産方式で使われる「かんばん」(通い箱のかんばんホルダーに取付されている帳票)に記載された情報で、以下の意味があります。部品管理と在庫管理のために使用される識別システムの一種といえます。
背番号
自動車の部品には10桁+アルファの品番がついており、番号にも意味がありますがこれをすべて覚えて時間単位で多様な部品が入荷してくるものを仕分けるのはほぼ不可能です。このため、こうした品番を簡略化するために導入されたものが背番号です。
目的
- 部品発注や識別を容易にすること、多量なかんばんの仕分け作業を容易にすること
特徴
- 部品受け入れ基地単位で部品メーカーごとに連番を付与
- 工場、部品受け入れ場所、メーカー名、背番号の組み合わせで部品を特定。 例: 「田原 N1 背番号2」で特定の部品を指定可能
背番号システムの導入により、トヨタの現場や生産管理部門間でのコミュニケーションが大幅に効率化されています。なお、背番号と呼ばれていますが、現在はかんばんの背中(裏面)には記載されておらず、表面に大きく「背番号」とわかるように記載されています。なお、色分けされて使われることもあります。
所番地
所番地は、倉庫や工場内での部品の保管場所を示しています。その名の通り、部品があるべき「住所」を表しています。
目的
- 部品の保管場所を効率的に管理し、ピッキング作業を容易にすること
特徴
- 棚の番号、段数、左からの位置などを組み合わせて表示
- 郵便番号のように、数値で所在地を特定可能。例:「A-1-3」は、A棚の1番下の左から3番目を意味する。「1B-105」のような形式で表現されることもある。かんばんの中央のQRコードに含まれている。
所番地システムにより、作業者は部品の正確な位置を素早く特定でき、ピッキング効率が向上するというメリットがあります。
ジャストインタイム方式の生産や在庫を極小にして効率よく物を作るためには、多種多様な部品がどのような部品でどこに収容されているのか、またそれを何時にどこへ供給すればよいのかという情報が不可欠になります。これを支える仕組みのひとつが背番号と所番地であり、トヨタは複雑な部品管理を簡素化し、生産性を向上させています。
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