ボルトの強度区分について
ボルトの頭部に、8.8や10.9、12.9などの数字が小さく刻印されていることがあります。これはJIS規格で規定されているボルトの強度を表しています。現行の規格ではボルトの強度区分は10に分かれており、刻印されている数字は具体的な強度を表しています。
強度区分 | 3.6 | 4.6 | 4.8 | 5.6 | 5.8 | 6.8 | 8.8 | 9.8 | 10.9 | 12.9 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
d≦16 | d≧16 | ||||||||||
呼び引張強さ (N/mm2) |
300 | 400 | 500 | 600 | 800 | 800 | 900 | 1000 | 1200 | ||
最小引張強さ (N/mm2) |
330 | 400 | 420 | 500 | 520 | 600 | 800 | 830 | 900 | 1040 | 1220 |
補記:上記表のうち、強度区分9.8はねじの呼びが16mm以下のものだけに適用されます。また強度区分8.8はねじの呼び(d)が16mmを境に分けられていますが、鋼構造用ボルトの場合はこの16mmが12mmになります。
例えば12.9の刻印がある場合は、12が1200N/mm2の引張強さを持つことを示しており、残りの9は、1200の9割までの力が加わっても破断しない降伏点を示します。したがって、この例で言えば1200x0.9=1080N/mm2あたりがボルトの降伏点となります。
ボルトの強度区分を規定する規格は、JIS B 1051:2000で対応するISO規格としては、ISO 898-1:1999となります。
なお、この規格では炭素鋼、合金鋼のボルトやネジの強度について述べられていますが、ステンレス鋼のボルトの強度規格についてはまた別のものになる点に留意する必要があります。
強度区分において各区分ごとに規定されている項目は次の通りです。
- 化学成分(炭素、リン、硫黄、ホウ素)
- 焼き戻し温度
- 呼び引張強さ
- 最小引張強さ
- ビッカース硬さ
- ブリネル硬さ
- ロックウェル硬さ
- 表面硬さ
- 下降伏点
- 0.2%耐力
- 保証荷重応力
- 破壊トルク
- 破断伸び
- 絞り
- くさび引張の強さ
- 衝撃強さ
- 頭部打撃強さ
- ねじ山の非脱炭部の高さ
- 完全脱炭部の深さ
- 再焼戻し後の強さ
- 表面状態
旧規格によるボルトの強度区分
なお、旧JISでは、強度区分にTがついた4T、5T、6T、8T、10T、12Tといった区分が採用されています。これはISOに準じた現在の規格になる前のJIS独自の強度区分で、それぞれ引張強さの最小値を100で割った数値にTがついた形をとっています。例えば、5Tであれば、500N/mm2が材質の持つ最小の引張強さということになります。
強度区分 | 4T | 5T | 6T | 8T | 10T | 12T |
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呼び保証荷重応力(N/mm2) | 400 | 500 | 600 | 800 | 1000 | 1200 |
実保証荷重応力(N/mm2) | 392 | 490 | 588 | 785 | 981 | 1177 |
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