A5182とは|JIS規格材の特徴と物性
A5182はJIS規格に定められたアルミ合金のうち、A5083材と同程度の強度をもつ材料です。JISではA5182Pの板材のみ規定されています。特に飲料缶の蓋材(フタ)として使われることで知られます。5000系の合金の中では、最高クラスの強度を持つ材料です。ただMgを多く含む強度に優れたアルミ合金は応力腐食割れの危険性も孕みます。構造材として使う場合は、O材(焼きなましをすることで完全再結晶し、最も軟らかい状態になったものを言います)で用いられます。
A5182の成分
5000番台の番号が付いているアルミ合金は、マグネシウムを主要添加物質としたAl-Mg系の合金です。
合金番号 | Si | Fe | Cu | Mn | Mg | Cr | Zn | Ga, V, Ni, B, Zr等 | Ti | その他 | Al | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
個々 | 合計 | |||||||||||
A5182 | 0.20以下 | 0.35以下 | 0.15以下 | 0.20から0.50 | 4.0から5.0 | 0.10以下 | 0.25以下 | - | 0.10以下 | 0.05以下 | 0.15以下 | 残部 |
A5182の機械的性質(耐力、引張強さ、伸び、曲げ)
アルミ材料記号 | 調質 | 引張強さ(N/mm2) | 耐力(N/mm2) | 伸び率(板1.6mm厚) | 伸び率(棒φ12.7mm) | ブリネル硬さ(10/500) | せん断強さ(N/mm2) | 疲れ強さ(N/mm2) | 縦弾性係数(×1000)(N/mm2) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A5182 | O | 295 | 150 | 21 | - | - | - | - | - |
A5182 | H34 | 335 | 235 | 18 | - | - | - | - | - |
A5182 | H38 | 390 | 315 | 9 | - | - | - | - | - |
A5182の形状記号
JIS規格ではA5182の形状は、下表の通り板、条、円板の1種類のみ規定があります。
形状記号 | 意味 | 英語 |
---|---|---|
A5182P | 板、条、円板 | Plate |
A5182の相当材
JIS規格以外でのA5182Pの相当品については、下表の通りになります。ISOとENは化学成分だけでなく機械的性質の規定があります。なお、ENはBS EN、DIN EN、NF ENとなります。
規格の種類 | 材料記号 |
---|---|
AA | - |
ASTM | - |
EN | EN AW-A5182 |
ISO | - |
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