鉄筋の規格|鉄筋コンクリート用棒鋼(SD材、SR材)の降伏点や引張強度などの機械的性質、重量、比重など
建築材料あるいは構造材料として一般的な素材である鉄筋コンクリートに用いられる「鉄筋」部分の鋼材について規定した規格となります。コンクリートは圧縮強度にはきわめて強い性質を持ちますが、引張強度については強い方ではなく、内部に鉄筋を入れることでこうした弱点を補う目的があります。鋼材は、コンクリートのような硬くてもろい「硬脆材料」に比べて、ねばりに優れており、引張強度にも長けています。また破壊にいたるまでに変形するため、破壊までに猶予ができることもあり、多用されています。こうした双方の長所・短所を補う形にした一体型の構造材料が鉄筋コンクリートとなります。
鉄筋となる棒鋼の特徴
鉄筋の二つの類型|丸鋼と異形棒鋼
鉄筋に使われる鋼材は、「棒」の形状をしているため、棒鋼と呼称されますが、この規格では大きく「丸鋼」と「異形棒鋼」の二種が規定されています。丸鋼として2種類、異形棒鋼として5種類の合計7種類が鉄筋の規格材料となります。
異形棒鋼(いけいぼうこう)とは、棒の表面に凹凸がついた特殊な形状をしていることを意味する用語で、この場合は、コンクリート補強用の鉄筋材料のことを言っています。解体現場や建築現場などでコンクリートを流し込む前の鉄筋のイメージそのものの材料です。形としては棒型の鋼なのですが、コンクリートとの密着力・定着力をあげるため、表面にリブや節と呼ばれる突起(ギザギザ)がつけられています。
リブは、軸の方向に連続してつけられている凹凸で、節(ふし)は軸方向以外についた凹凸となります。この突起があるために、棒自体の表面積も大きくなり、鉄筋がコンクリートから抜けにくくなっています。なお、鉄筋は縦方向のものを縦筋、横方向に配置するものを横筋と呼びますが、この組み方によっても強度や地震に対する耐性が変わってきます。
規格では、節と節の距離や、節と軸線の角度、節の高さ等も規定されています。
用途については、異形棒鋼は表面に突起があるため、ほとんどがコンクリート補強用に特化していますが、丸鋼については突起がなく、断面が円形をしている棒材でもあるため、他の用途へ転用されることもあります。
鉄筋の材料記号|SR材とSD材
鉄筋コンクリート用の棒鋼については、丸鋼はSRからはじまる材料記号をもち、異形のものはSDからはじまる記号となります。いずれも熱間圧延によって製造されています。さらに、異形棒鋼にはD10やD13といった「呼び名」がつけられており、これによって直径や断面積、重量、リブや節(ふし)の間隔や高さなども決まってきます。材料記号だけでなく、呼び名が確定しないと材料のスペック面は確定しません。
鉄筋の機械的性質、成分に関する規定
規格では、建築材料の一部だけあり、成分と機械的性質の双方について規定があり、鋼材の延性やねばり強さにも影響する伸びのパラメータもサイズによって細かく規定されています。鉄筋コンクリートの内部で、主に鉄筋は引張りに対する許容応力を担当している為、降伏点と引張強度とあわせて、こうしたパラメータが明確に規定されています。
なお、成分値に、炭素比率とマンガンを6分の1にした比率の合計値(C+Mn/6)を規定していますが、これは炭素当量の中でも主として溶接性に影響するパラメータです。
鉄筋の炭素量
炭素については基本的に軟鋼に相当する鋼材が使われますが、高いスペックを持つものほど成分や機械的強度に制約を設けている為、他のグレードの軟鋼よりも厳しいスペックとなっていきます。
一般に炭素量が多いと硬度や引張強さの向上しますが、加工がしにくくなったり、溶接性が悪くなったり、延性やねばりにかかわる性能も低下します。炭素の少ないものは粘り強い性質を持つ為、コンクリートと合わせて使うことを想定した鉄筋とは相性がよい鋼種といえます。
鉄筋コンクリート用棒鋼の標準となる長さ
標準の長さについては、3.5メートルから12メートルまで、13種類の長さのパターンが規定されています。途中までは0.5メートル刻み、7メートル以上の寸法の場合は、1メートル刻みとなります。
寸法公差については、7メートル以下のものであれば+40mm、マイナス方向は0となります。7メートルを超える場合は、長さ1メートルか端数が増すたびに、この+40mmに+5mmしていきます。ただし、許容公差については最大でも120mmとなります。
長さ(m) |
---|
3.5 |
4.0 |
4.5 |
5.0 |
5.5 |
6.0 |
6.5 |
7.0 |
8.0 |
9.0 |
10.0 |
11.0 |
12.0 |
鉄筋の色分けと圧延マークの一覧
なお、他の鋼材系の規格と異なり、鉄筋の場合は、作業現場でも区別がつくよう、鋼材(断面)そのものに色が塗ってあったり、圧延マークがついています。圧延マークはポンチマークともいいます。具体的には以下の意味となります。
鋼材の種類 | 圧延マーク表示 | 色による表示 |
---|---|---|
SR235 | 適用しない | 赤(片断面) |
SR295 | 適用しない | 白(片断面) |
SD295A | マークなし | 適用なし |
SD295B | 1または| | 白(片断面) |
SD345 | 突起(ポンチマーク)1個(・) | 黄(片断面) |
SD390 | 突起(ポンチマーク)2個(・・) | 緑(片断面) |
SD490 | 突起(ポンチマーク)3個(・・・) | 青(片断面) |
異形棒鋼の重量、寸法、呼び名について
異形棒鋼は、表面にリブと呼ばれる凹凸があるため、単純な直径寸法だけを記載しても実スペックがわからないため、「呼び名」と呼ばれる名称をつけ、それによってスペックが特定できるようになっています。
なお、この規格上では節と軸線との角度はいずれの呼び名でも45°となります。
呼び名 | 公称直径(d)mm | 公称周長(l)cm | 公称断面積(S)cm2 | 重量(単位質量)kg/m | 節の平均間隔の最大値、mm | 節の高さ | 節の隙間の合計の最大値(mm) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最小値(mm) | 最大値(mm) | |||||||
D4 | 4.23 | 1.3 | 0.1405 | 0.110 | 3.0 | 0.2 | 0.4 | 3.3 |
D5 | 5.29 | 1.7 | 0.2198 | 0.173 | 3.7 | 0.2 | 0.4 | 4.3 |
D6 | 6.35 | 2.0 | 0.3167 | 0.249 | 4.4 | 0.3 | 0.6 | 5.0 |
D8 | 7.94 | 2.5 | 0.4951 | 0.389 | 5.6 | 0.3 | 0.6 | 6.3 |
D10 | 9.53 | 3.0 | 0.7133 | 0.560 | 6.7 | 0.4 | 0.8 | 7.5 |
D13 | 12.7 | 4.0 | 1.267 | 0.995 | 8.9 | 0.5 | 1.0 | 10.0 |
D16 | 15.9 | 5.0 | 1.986 | 1.56 | 11.1 | 0.7 | 1.4 | 12.5 |
D19 | 19.1 | 6.0 | 2.865 | 2.25 | 13.4 | 1.0 | 2.0 | 15.0 |
D22 | 22.2 | 7.0 | 3.871 | 3.04 | 15.5 | 1.1 | 2.2 | 17.5 |
D25 | 25.4 | 8.0 | 5.067 | 3.98 | 17.8 | 1.3 | 2.6 | 20.0 |
D29 | 28.6 | 9.0 | 6.424 | 5.04 | 20.0 | 1.4 | 2.8 | 22.5 |
D32 | 31.8 | 10.0 | 7.942 | 6.23 | 22.3 | 1.6 | 3.2 | 25.0 |
D35 | 34.9 | 11.0 | 9.566 | 7.51 | 24.4 | 1.7 | 3.4 | 27.5 |
D38 | 38.1 | 12.0 | 11.40 | 8.95 | 26.7 | 1.9 | 3.8 | 30.0 |
D41 | 41.3 | 13.0 | 13.40 | 10.5 | 28.9 | 2.1 | 4.2 | 32.5 |
D51 | 50.8 | 16.0 | 20.27 | 15.9 | 35.6 | 2.5 | 5.0 | 40.0 |
「JIS G 3112 鉄筋コンクリート用棒鋼」に規定のある材料記号
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