ZDC2の比重、融点、成分、強度などの物性|亜鉛合金の特性、材質、機械的性質

2013年8月31日更新

ZDC2は、日本で最も広く使用されている亜鉛合金で、AG40AやZamak3に相当します。アルミニウム、銅、マグネシウムを元素として含む亜鉛合金で、寸法安定性のよさ、表面がきれいに仕上がる等の特徴のほか、メッキや塗装もしやすく、美しく仕上がります。

機械的性質については強度はZDC1に比べて劣りますが、全般的に他の金属と比べて耐衝撃性に優れ、引張強さも実用範囲内のものです。またアルミダイカスト等に比べ、振動を吸収する性能である減衰能に優れています。

強度が特に必要な場合は、他のZDC1やザマック金属などから選定することになります。ダイカストで用いる場合、低融点で鋳造性にも優れているため、生産性が高く、大量生産に適しています。

寸法安定性は、通常、鋳物についてはあまり期待できないことが多いのですが、この材料については優れた特質を示し、経年劣化も少ないため、長い期間寸法が変化しにくく、安定しています。

ZDC2の比重

ZDC2のおおよその比重は6.60となります。ZDC1に比べると若干低くなります。

ZDC2の硬度

ZDC2の硬度はブリネル硬さで82となり、ZDC1よりも少々低くなりますが、その分、耐食性の改善などで実用上のバランスのよい亜鉛合金となっています。

ZDC2の成分、材質

ZDC2の成分、材質
亜鉛合金 Al Cu Mg Fe Zn 不純物
Pb Cd Sn
ZDC2 3.5から4.3 0.25以下 0.020から0.06 0.10以下 残部 0.005以下 0.004以下 0.003以下

ZDC2の機械的性質

ZDC2の引張強さ、伸び、衝撃値、硬度
亜鉛合金の種類 引張試験 衝撃値
N・m/cm2
硬さ
HB
(10/500)
引張強さ
N/mm2
伸び
ZDC2 285 10 140 82

ZDC2の熱膨張係数、比熱、熱伝導率、融点などの熱的特性

国内で最も多く使われる亜鉛合金でもあるZDC2、AG40Aの熱的特性は次の通りです。

ZDC2の熱膨張係数、比熱、熱伝導率、融点などの熱的特性
線膨張係数 (20℃)27.4μm/m-℃
比熱 0.420 J/g-℃
熱伝導率 113W/m-K
融点 381℃から387℃前後

「JIS H 5301 亜鉛合金ダイカスト」(最新:2009年改訂)に規定のある材料記号

スポンサーリンク

>このページ「ZDC2の比重、融点、成分、強度などの物性|亜鉛合金の特性、材質、機械的性質」の先頭へ

加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
亜鉛合金の一覧

ZDC2の比重、融点、成分、強度などの物性|亜鉛合金の特性、材質、機械的性質の関連記事とリンク

アルミニウム合金鋳物の種類の一覧
アルミダイカスト(ADC材)の成分と種類、特徴|材質、比重、機械的性質など
マグネシウム合金、マグネシウム合金鋳物、ダイカストの種類と特徴
銅合金鋳物、鋳造品の用途、成分、種類、記号について
SCS(ステンレス鋳鋼品)の種類と材質、成分、規格
減衰能(げんすいのう)とは
金属の低温脆性
亜鉛(元素記号 Zn)の用途、特性、物性、密度、比重、融点、沸点など
炭素鋼鋳鋼品(SC材)
溶接構造用鋳鋼品(SCW材)
構造用合金鋼鋳鋼品(SCC, SCMn, SCMnCr, SCCrM等)
高マンガン鋼鋳鋼品(SCMnH材)
鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレス、鋳鉄、超硬の熱膨張係数
金属の熱伝導率の一覧表
鉄鋼材料、鉄、炭素鋼、工具鋼の比重
鉄鋼、炭素鋼、鋳鉄、純鉄、ステンレスの熱伝導率
鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレス、ハイスの比熱
鉄鋼、鉄、炭素鋼、ステンレスの電気抵抗
金属単体の比重、密度の一覧表
金属の融点、沸点の一覧表
金属の熱伝導率の一覧表
金属材料の硬度の一覧と比較
合金元素の果たす役割

このサイトについて

当サイトの記事はすべて工業製品のメーカーの実務経験者が執筆しています。

砥石メーカーの製品や技術を紹介するサイトとしてはじまりましたが、加工技術・工具・研削・研磨に関わる情報から派生し、ユーザーの問い合わせに応じて鉄鋼、非鉄、貴金属、セラミックス、プラスチック、ゴム、繊維、木材、石材等製造に使用する材料・ワークの基礎知識についても掲載するようになりました。その後、技術情報に限らず、製造業で各分野の職種・仕事を進めるうえで役立つノウハウも提供しています。

製造、生産技術、設備技術、金型技術、試作、実験、製品開発、設計、環境管理、安全、品質管理、営業、貿易、経理、購買調達、資材、生産管理、在庫管理、物流など製造業に関わりのあるさまざまな仕事や調べものの一助になれば幸いです。

工業情報リンク集

工業分野のメーカーや商社を中心に、技術、規格、ものづくりに広く関わりのあるリンクを集めています。工業製品の生産に必要とされる加工技術や材料に関する知識、マーケティングから製品企画、開発、販売戦略、輸出入、物流、コスト低減、原価管理等、事業運営に必要な知識には共通項があります。

研磨、研削、砥石リンク集