DHLで信書は送れるか
結論からいえば、日本ではDHLで信書を送ることはできない法令になっています。信書を送ることができるのは日本郵政、日本郵便(旧郵便局)だけというルールになっているためです。
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法令上の解釈は受信、発信の双方に適用
厳密に言えば、日本から出た時点でそこは日本ではないので、国際間の輸送については本来信書かどうかは関係ないはずなのですが、空港に運ぶまでの区間や、日本の空港や港についてからは国内配送になるので日本の法令が適用されるという形です。
「信書に該当する文書に関する指針(案)」パブリックコメント時の御意見と総務省の考え方という公開文書に、「海外で受託する海外発日本向け文書等は、対象としない」という社団法人航空貨物運送協会国際宅配便部会の意見に対し、総務省は「海外から発送された信書であっても、日本国内において送達する場合は、郵便法等日本国の法令が適用されます」との見解が示されています。
法令通りに運用するなら、海外取引先からビジネス文書=信書の配達が認められているのは日本郵便だけになりますので、EMSや国際郵便以外で受け取ってはいけない、ということになります。
ただし、配送業者は特定信書便事業者の認可を受けていれば、特定の大きさを超えたり、3時間以内に配送するサービスであったり、料金の額が800円を超える信書便については取り扱うことができることになっています。
もっとも実態としては信書に相当する物をDHL等のクーリエで発送している例は多数あると推定されます。というのも、そもそも海外取引先や自社の海外工場・海外法人から請求書や見積書、残高確認書、回答書、契約書などの文書が届くとき、すべてEMSか郵便が使われているのかという点を見れば明らかです。
昨今は注文書等の多くのビジネス文書はメールやシステム、ウェブ等を使ったやり取りに変わりつつありますが、契約書や請求書などは紙でのやり取りを保持しているところも多いです。したがって、社内外を問わず、海外とのやり取りに付随する紙の文書がどうしても必要になってきます。
信書の定義
この問題の場合、そもそも信書が何かという点も重要になりますが、以下の6パターンのものが信書となります。「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と法令では規定されています。
受取人を指定したほぼすべての文書が該当します。
書状
手紙やハガキなど。
請求書の類
請求書、残高確認書、照会書、納品書、領収書、受領書、見積書、願書、申込書、申請書、申告書、依頼書、契約書、照会書、回答書、承諾書、レセプト(診療報酬明細書等)、推薦書、注文書、年金に関する通知書・申告書、確定申告書、給与支払報告書
会議招集通知の類
会議招集通知、結婚式等の招待状、業務を報告する文書
許可書の類
免許証、認定書、表彰状。カード形状の資格の認定書など。
証明書の類
印鑑証明書、納税証明書、戸籍謄本、住民票の写し、健康保険証、登記簿謄本、車検証、履歴書、給与支払明細書、産業廃棄物管理票、保険証券、振込証明書、輸出証明書、健康診断結果通知書・消防設備点検表・調査報告書・検査成績票・商品の品質証明書その他の点検・調査・検査などの結果を通知する文書
ダイレクトメール(文書自体に受取人が記載されている文書)
商品の購入等利用関係、契約関係等特定の受取人に差し出す趣旨が明らかな文言が記載されている文書
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