仕入書価格とはインボイスバリューのこと

2022年5月8日更新

仕入書(読み方:しいれしょ)とは法令等でのインボイスの呼び名のことで、仕入書価格はインボイスバリューともいい、インボイスに記載されている価格のことを意味しています。英語ではInvoice valueとなります。インボイスがFOB条件ものならFOB価格と違いはありませんが、申告価格とは必ずしも同じにはなりません。InvoiceやINVという表現は貿易実務ではごく普通の表現ですが、税関の公式表現をはじめ国内の法令や行政の文書では「仕入書」と書き直されますので、一体何のことかと思われる方も多いかもしれません。

仕入書価格は、輸入申告の際、関税や消費税の計算根拠となる重要なものですが、記載されている価格がそのまま使える場合と使えない場合があります。

日本の場合はCIF価格をもとに課税価格の計算を行います。インボイスではFOB条件でもCIFに換算して関税の計算を行いますが、このとき例えば次のような場合は、インボイスに記載の金額をそのまま使うことができません。

  • 金型費などの名目ですでに費用を支払っているが、単価に入っていない。
  • 金型や設備などを売り手に無償で提供している。
  • 輸入品の製造にあたって現地へ人員を派遣したり等支援を行っている。
  • 相手先との売り買いがあるので相殺値引きなどを行っており、単価が通常の売買に比べて安くなっている。

上記のような輸入申告時に別途加算しなければならない金額も含めた課税算定用の価格を、現実支払価格と呼びます。関税や消費税は現物の貿易取引の金額によって決まるので、貿易外でのやり取りを差し引かれた売買にすると、税金が過少となります。このため、こうした内容がある場合は、インボイスの金額だけでなく、加算要素として、金額を加算して申告する必要が出てくるわけです。こうした事情から仕入書価格と現実支払価格がイコールになることもあれば、ならないこともあります。

なお、仕入書価格を関税や消費税を抑えがたいために意図的に低く記載する行為はアンダーバリューと呼ばれ、どの国でも違法行為となります。輸入している場合でも相手方がこのように不当に安い金額をインボイスに記載してきた場合は輸入者の責任が問われ、追徴課税となることがあります。サンプル品や試作品などまだ上市していないもののやり取りの際も単価が決まっていないからと言って安易に1ドルや1円といった値決めをしてインボイスに記載することは慎むべきです。

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