パー割生産とは|平準化の意味とその対義語
パー割生産とは、毎日の生産数量を同じレベルに平準化した生産のことです。パー割は、平準化を意味します。平準は、ある期間内で上下の変動のある数量を平均化して一定にならすことを意味しています。
月間の生産量が1000個の製品があるとして、その月の稼働日が20日であれば、パー割生産した場合、毎日50個ずつ同じ数だけ生産するというのが字義通りの、パー割生産の意味となります。20日 x 50個 = 1000個となります。
パー割の語源は、諸説ありますが、1000 units per month等と表記する「per」のラテン語から来ているのではというものがあります。1000 unit per monthとあれば、1ヶ月あたり1000ユニット、1ヶ月につき1000ユニットといった意味合いですが、perは〜につきといった意味を持ちます。
ではパー割や平準化生産の対義語や反対語は何でしょうか。例えば、上記のように月間1000個の生産を行うとして、これが500個で1ロットの製品であった場合に、ロット生産した場合、生産能力の問題は別にして、500個ずつまとめて2回に分けて作るということになります。パー割生産、平準化生産の反対語、対義語がロット生産やダンゴ生産といわれる所以です。
平準化生産の本来の意味というのは、トヨタ生産方式から出てきた用語です。トヨタ生産方式の根幹には、ジャスト・イン・タイムと、自働化(自動化ではなく、ニンベンのついた自働化)という二つの柱がありますが、このうち、1台の車を作るときに必要な部品が必要な時にそのつど、必要なだけ生産ラインのすぐ脇に届けられる、という状態を作り出すためのジャスト・イン・タイムの考え方では、完成車をつくる最終ラインからその前工程へ必要な部品の納入指示をかんばんを通じて振り出す方式が基本にあります。前工程はそのまた前工程へ同じようにかんばんにより納入指示が伝達されていきます。
このため、前工程は、後工程が必要な分しか作りませんが、そもそも後工程からの数字が乱高下するようでは、前工程ではその最大数にあわせて生産設備や人員を余計に確保しなければならないことになります。これでは在庫を大きく抱えておくか、人員・材料も余計に準備しておかないと対応できないことになってしまいます。
トヨタの自動車ラインでは、ひとつのラインで、様々なバリエーションの車を生産しますが、これらをまとめて作らず、同じものの生産単位のロットをなるべく小さくすることで、前工程でも平準化してものを作ることができるようにし、この問題に取り組んできています。
そもそもまとめて作ったほうが生産効率がよいものもあるのではないかと思いますが、ロット生産によりまとめることで起きる「作りすぎの無駄」を徹底的に排除することに、トヨタ生産方式でのものづくりの特徴があります。トヨタ生産方式で撲滅することを目指す7つのムダのうち、もっとも害悪となり、他への影響が大きくなるのがこの作りすぎのムダといわれています。
こうしたことから多品種を一個流しで無駄なく作ることができる生産方式により、限られた設備・人員・生産能力を最大限活用する工夫が凝らされています。自動車は車種それぞれにエンジンであったり、ボディであったり、タイヤであったり、組み合わせが多種多様存在するのが通例であり、それらをそれぞれ専用ラインで作っていたら、場所や人がいくらいても足りなくなります。このため、複数の車種や車型を同じラインで生産する混流生産が基本となります。
混流ラインで平準化して車を作ることで最小の設備・人員で生産可能な状態にし、その部品メーカーでも余分な生産能力や設備を持っておく必要がないようにすることが考え方の底流にはあります。
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