数字の桁区切りでのカンマとピリオドの使い分け

2024年3月17日更新

数字の桁区切りの際と小数点以下を示す記号にカンマを使うかピリオドを使うかは国や地域によって異なります。他国との貿易を行っていると、売買価格や評価額をはじめ、数字を使用しないわけにはいきませんが、この表記が国によって異なるため、メールや帳票、書類でどちらか誤認してしまうこともあり、注意を要します。

取引内容が良く分かっている担当同士であれば、ありえない数字ではないほうに解釈して物事を進めていく、というのが一般的ですが、万が一片方がミスタイプしているような場合や理解が違っていた場合は悲劇です。日頃、やり取りしている相手がどちらの法則で桁数区切りと小数点を区切りを使い分けているかを理解しておく必要があります。

小数点の区切りと、桁数の区切り

小数点の区切り方については、世界のどの国でもおおむねピリオド(.)かカンマ(,)の二択です。ただし数字の桁区切りは、カンマ(,)、ピリオド(.)のほか、スペースで区切る国、アポストロフィ(')で区切る国があります。

国による小数点の区切り桁数の区切りの違い

以下、国別に表にまとめていきます。ただし国と地域によっては用途によっても使い分けることがあります。例えば学校教育で使用する桁区切りと実務では違いがあったり、通貨表記や公文書での表記と慣用的な使用方法に違いがある、等です。

数字の桁区切り、小数点のカンマとピリオドの国別違いの一覧
表記例 数字の桁区切り 少数の桁区切り 使用される主な国や地域
12,345.67 カンマ(,) ピリオド(.) 日本、韓国、中国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ(英語話者)、アメリカ、カンボジア、香港、イスラエル、アイルランド、マカオ、メキシコ、マレーシア、パキスタン、ペルー(通貨で使用)、フィリピン、シンガポール、南アフリカ(英語話者)、ナミビア、台湾、タイ、イギリス
12.345,67 ピリオド(.) カンマ(,) オーストリア、ベルギー、ブラジル、クロアチア、デンマーク、ドイツ、ギリシア、イタリア、オランダ、インドネシア、ベトナム、ルーマニア、チリ、コロンビア、トルコ、ウルグアイ
12 345.67 スペース ピリオド(.) SI式(英語圏)。カナダ(英語話者)、中国、エストニア(通貨で使用)、香港(学校で使用)、メキシコ、ナミビア、南アフリカ(英語話者)、スリランカ、スイス(公文書のうち通貨のみ)、イギリス(学校で使用)、アメリカ(学校で使用)
12 345,67 スペース カンマ(,) SI式(フランス語圏)。アルバニア、ベルギー(フランス語圏)、ブラジル、ブルガリア、カナダ(フランス語話者)、クロアチア、チェコ、エストニア、フィンランド、フランス、ハンガリー、イタリア(学校で使用)、ラテンアメリカ、ラトビア、リトアニア、マカオ(ポルトガル語使用時)、モザンビーク、ノルウェイ、ペルー、ポーランド、ポルトガル、ロシア、セルビア、スロバキア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、ウクライナ、ベトナム(学校で使用)。
12,345・67 カンマ(,) 中黒(・) マレーシア、フィリピン(一部)、マルタ、シンガポール、台湾、イギリス(一部、手書き)
12,34,567.89 カンマ(,) ピリオド(.) 最初のカンマは3桁で区切り、以降は2桁ずつで区切る特殊ルール。バングラデシュ、インド、ネパール、パキスタン
12'345.67 アポストロフィ(') ピリオド(.) スイス、リヒテンシュタイン

アメリカ、イギリス、ニュージーランド等、英語圏の大多数や中国、韓国といった国々が日本と同じ方式で、数字の桁やカンマで区切って、小数点はピリオドで区切っています。なお、小数点以下は数字が何桁であっても区切りに記号は使わないことが多いです。

反対に、ヨーロッパ、例えばドイツ、フランスや北欧諸国、中南米の一部、トルコ、インドネシアといった国々は日本とは逆の法則で、数字のけたをピリオドで区切って、小数点以下をカンマで表現します。

例外もあるため、一概には言えませんが、非常におおざっぱにいえば、英語圏は日本と同じ桁数がカンマ、小数点はピリオド、フランス語圏は桁数がピリオド、小数点がカンマということもできます。ただし、どちらの方式も桁数にはスペースを使うことがあります。

変わったところとしては、小数点に「・」(中黒、黒丸、中点、なかてん)を使うところと、桁数の区切りにアポストロフィ(')を使うスイス圏があります。

また、インドは区切る桁数が途中から変わる独特のルールがあります。使う記号自体は日本と同じですが、例えば100万を小数点以下2桁まで数字で記載すると、「10,00,000.00」となります。小数点はドットであるのでわかりやすいですが、最初の3桁までは諸外国と同じ、それ以降は2桁ずつ区切られます。これはバングラデッシュやネパールといったインドの影響が強い国も同様です。

貿易書類では、数字での表記だけでなく、amount in wordsという記載で、文字(言葉)でもその数字を表わしていることがありますが、これらは桁数と小数点の誤認を防ぐ効果もあります。誤解を防ぐにはアルファベット(スペルアウト)で記載するのは非常に効果がありますので、数字と併記してみるのも一つの方法です。

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