図面での現合を英語で表現すると
現合(読み方:げんごう)とは、現物合わせの略称で英語では意味している内容にあわせ、actual parts matchingやgaugingといいます。
機械加工の分野での現合は、例えばある部品を組付ける際に組付け箇所やその部品に合わせて調整加工を行うという意味になります。図面で寸法がきっちり決まっていても、組み合わせがうまくいかない箇所があり、こうした場合に現合指定がなされていることもあれば、そもそも寸法自体も詳細箇所まで決まっておらず作業者の裁量に任されていることあります。共通しているのは、現合が図面で指示されている場合、作業者の裁量での加工が可能となります。
現合加工が許可されていると、このように現物にあわせて、組付けにおいて合わない部分をすべて修正してしまいますので、何とでもなるというのが最大のメリットです。
ただ加工の手間はかかるので、これをよしとするかは現場の考え方によります。一方、図面指示する設計側の目線では、現合にすると楽にはなります。というのも、逐一すべての寸法や仕様を正確に想定して図面に記載する必要がなく、もしそのように記載しても「部品同士があわない」「組み付かない」「ガタつく」といったトラブルを回避できるためです。
ただこれには個人差が出てくることから、職人技による現合に頼っていると、同じものを図面を見ても再現できなくなる懸念があります。作業内容によっては図面で記載されていない分、知恵を絞って何度も加工の手間をかける必要が出てくることもあります。この辺りは表裏一体で、より手間がかかり高度の技術が要るものほど、再現性が低くなってきます。図面に記載通りの寸法に作ればよい、というものより時間がかかることは容易に想像がつきます。
また、いくら最終的な寸法範囲を指定しているとはいえ、作業者のカンコツにどの程度依存するかにもよりますが、製造しているものがすべて同じものかという確証が得られなくなります。品質面のバラつきも懸念されます。最終的に組み付いているとはいっても、あわさっている部品同士が現合だと、量産にもかかわらず、測定すると毎回寸法が違うということもあり得ます。
この辺りが現合のデメリットといえます。こうしたことから図面での現合を禁止している企業や分野もあります。
一方、図面では指示しきれない分野、例えば木材加工の分野等では現合なしには成り立たない部分もあります。最終的な寸法はあわせるにしても、その途中経過における組み付けの細かい凹凸や寸法は現物合わせにより加工しないとうまくいかないことがあります。また図面がなかったり、記載が不十分なケースでは、実務上、現合を行うしかない場合もあります。寸法のばらつきが出やすい加工方法や箇所についても同様です。
上述の良しあしを総合的に判断して、最終的に現合指示にするかどうか勘案が必要です。ただ設計上、工数が減るからという考えで安易に現合指示するのは品質面からいっても危険なことといえます。
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