purchaserとbuyerの違い
ともに買い手を意味するBuyer(バイヤー)とPurchaser(パーチェサー)ですが両者にはどのような違いがあるのでしょうか。昨今は英語の国際化に伴い、国によっても用語の使い分けや解釈に差が出てきており、また業種や業界によっても用法に違いがあるため、一概に明確な定義を出しづらい用語のひとつです。この二つの用語で迷うのは、契約などの際に「買い手」と「売り手」の訳語として記載するような場合かと思います。
似た用語に、customerやconsumer、clientといった言葉もありますが、customerやclientは顧客、consumerは消費者となるため、いずれも違いを明確にしやすい類義語です。これらは当事者同士の取引の「売り買い」を明確にさせるような文脈では使わないため(customerもclientも売り手から見た場合のお客様。Consumerは消費者であって必ずも買い手ではない)、あまり違いが問題になる事にはなりません。
海外企業との間で取り結ぶ売買契約をはじめとする取引契約の多くは、英文契約となり、その中では買い手と売り手の義務と権利などについて規定する事になりますが、この場合は、買い手や買主として「Buyer」の用語が使われ、売り手や売主としてはSellerという使われ方がよく見られます。
また、貿易書類であるinvoiceには売り買いの当事者を記載しますが、この場合もいろいろな書き方があるにしろ、BuyerとSellerというのはひとつのポピュラーな書き方のひとつです。貿易書類上に記載されている場合、Sellerは輸出者であり、Buyerは輸入者でもあります。特殊な事例では、輸出入者と売買当事者とを分離する事もありますが、一般にはこのような使い方がなされます。
これに習うのであれば、英文契約などではBuyerという用語を使うことになりますが、Purchaserの用語をあてていることもあります。ビジネスの世界では、Buyerは広く買い手という意味のほか、狭義では、転売可能な物品、つまり自社で購入して他社へ転売可能なものも含む物品の買い手、業務用として比較的大量の物品を購入する者という意味を含む事があります。一方で、Purchaserといった場合、自社で使用するものを購入する場合の「買い手」や「購入者」という意味合いで使うことがあります。もっとも、すべての業種や業界でそのように使い分けられているかと言えば、否となります。同じ業界ですら、使い方にはムラがあります。
個人で使用・消費する物品の買い手をpurchaserと呼び、何らかの利益を得るために物品を購入する買い手をbuyerと呼ぶ業界・国もあります。
Oxfordをはじめとする英英辞典でも、buyerとpurchaserは類義語であるとしつつも、その用法や定義の違いについては言及されていません。
Buyer | Purchaser |
---|---|
英文契約や貿易書類の「買い手」におけるもっともよく使われる用語。国や業種によっては、業務用や卸売をはじめ、大量に購入するタイプの買い手全般を意味する。自社使用品ではない場合や転売目的をはじめ、何らかの利益を得るために物品を購入する買い手に限定して使うこともあるが、多くはそのような区別なく、「買い手」を広く意味する話し言葉、書き言葉の双方で使う。 | Buyerと同じような使われ方をするが、国や業種によっては自社で使用する物品を購入する買い手のことを指していたり、個人・組織で使用・消費する物品を購入する際の買い手を意味して使い分けることがある。どちらかといえば、書き言葉でよく見られる。契約書の「買い手」として表記する事もある。ただし、インボイスをはじめとする貿易書類では、一般にBuyerのほうを使う。 |
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