図工不一致とは|英語でいうと
図工不一致(読み方:ずこうふいっち)とは、図面と実際に製作(生産)している現物との間に何らかの違いがある場合のことを言います。「図」は図面の略、「工」は工作物や工作の略です。原則、製造業ではあってはならないことなのですが、現実問題、これに直面している企業は少なくありません。業種によっては全く起きない一方、これは企業の設計や品質管理、製造の考え方にも影響されます。
不一致であることはdiscrepancyやdifference、unmatch、does not meet等の表現が使えます。以下、例文や英語表現を列挙していきます。
discrepancy between drawings and actual products |
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現物と図面の不一致(不適合) |
difference between engineering drawing and workpieces |
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図面と製作物との間の違い |
This workpiece does not meet requirements indicated in this drawing |
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この製作物(工作物)は、この図面に指示された要求事項に適合しません。 |
This workpiece does not meet drawing specifications |
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この製品(製作物)は図面規格を満たしていません。 |
Unmatch between the drawing and the actual product |
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図面と現品とのアンマッチ |
例えば寸法が1.0±0.1mmという指定が図面でなされている箇所が、実際の製造現場では1.2mmや1.5mmといった寸法になっている場合、品質管理上はNG判定となり、検査は通りません。しかしながら、何らかの事情でこうした不適合品が客先へ納入されていることもあります。
あるいは、検査項目からは外れている、あるときまでは図面に記載の仕様通りになっていたが何らかの変化によって恒常的に図面要求を満たすことができなくなったというようなこともあります。
図面に記載の寸法は、品質管理上、どこかのタイミングではすべて計測して合否の判定が行われており、全数検査や抜き取り検査を行っていない場合でも、工程能力で不良数が一定以下になることを保証できるので実施していないというだけで、初期のころには検査や実測を行っているものです。
ただこれをしばらく生産して、抜き打ちで検査してみたら寸法が入らなくなっていた、ということもあります。金型の摩耗かもしれませんし、製法が微妙に変わっていた、あるいは作業者が変わって必要な手順が抜けていた等様々な理由が考えられますが、こうした事態に気が付く仕組みがないと、長期にわたって図面と異なるものを生産して納入してしまう可能性があります。
図面に記載の内容はそのすべてが完璧に現物に反映されていなくても、スペックの上では問題のないことも多々あります。言い換えれば、その製品の本来の機能を損なわない部分についても図面では様々な指示がなされており、時には過剰な品質ともいえるオーバースペックでの指示となっていることもあります。
図面は客先と取り交わしている場合、納入仕様の一種であり、その仕様で納入しますという約束であり、契約でもありますので「本質的な性能には差がありませんので」という理由で、図面と違うものを納入することは契約違反になります。
客先側でも直接的に影響がある場合は詳細な検査をすることになりますが、そうではない場合は見過ごされがちです。ただある時に気が付いて問題になることがあります。あとから遡って調べると、同じ企業の中でも図工不一致が多数見つかることがありますが、これはその企業での品質管理の考え方にも依存するため、「多少の違いは是正の必要なく客先に納入してよし」「特採扱いで許可する」というようなことを繰り返していると、あとから是正することが事実上不可能になったり、膨大な手間と工数がかかることになります。
また今までは問題がなくても、あるときにそうした「本質的ではない不一致」と思われていた部分が、思わぬ品質上のトラブルを引き起こす場合、不一致の状態で納入を行っていたメーカーの責任といえます。
図工不一致は、寸法が分かりやすいですが、実際には図面に記載されている事項すべてが対象となります。したがって、図面に指示されているが、実際に製作したものはそれに適合していないという場合すべてについて言えることになります。
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