SPFH590Yの機械的性質、引張強さ、耐力、降伏点、板厚公差、成分、比重
高加工用の高張力鋼のうち、熱間圧延鋼板としては最も強い引張強さを持ちます。但し、同規格内のSPFH590よりも降伏点、耐力は劣る傾向があります。厚みの範囲が限定されていることに留意する必要があります。SPFH590Yは、高い引張強さを持ちつつも、降伏点をなるべく下げることで衝撃を受けた際のエネルギーを吸収するための弾性限の間隔をなるべく広くするという意図があります。もともとが自動車用の高張力鋼として開発されているだけに、加工性の向上だけでなく、衝撃に対する強さ、壊れにくさを追求した熱延鋼板といえます。
SPFH590Yの比重
鋼板の比重の基準は、7.85になります。
SPFH590Yの引張強さ、耐力、降伏点、伸び
鋼材の種類 | 引張強さ(N/mm2) | 降伏点、耐力(N/mm2) | 伸び(%) | |||
---|---|---|---|---|---|---|
厚さ(mm) | ||||||
1.6以上2.0未満 | 2.0以上2.5未満 | 2.5以上3.25未満 | 3.25以上6.0以下 | |||
SPFH590Y | 590以上 | 325以上 | - | 22以上 | 23以上 | 24以上 |
※引張試験片:5号試験片。圧延方向に直角。
SPFH590Yの成分
SPFH鋼材には成分に関する規定がありませんが、供給者と需要者の間で別途定めても良いことになっています。
SPFH590Yの曲げ性
鋼板の種類・記号 | 曲げ角度 | 内側半径 | 曲げ試験片 | |
---|---|---|---|---|
厚さ(mm) | ||||
1.6以上3.25未満 | 3.25以上6.0以下 | |||
SPFH590Y | 180° | 厚さの1.5倍 | 厚さの1.5倍 | 3号試験片。圧延方向に直角。 |
SPFH590Yの板厚
板厚(単位:mm) |
---|
2.0 |
2.3 |
2.5 |
2.6※ |
2.8 |
2.9※ |
3.2 |
3.6 |
4.0 |
SPFH590Yの板厚公差
板厚の範囲(mm) | 鋼板の幅(mm) | |||
---|---|---|---|---|
1200未満 | 1200以上1500未満 | 1500以上1800未満 | 1800以上2160未満 | |
2.00以上2.50未満 | ±0.18 | ±0.22 | ±0.23(1600未満のとき) | - |
2.50以上3.15未満 | ±0.20 | ±0.24 | ±0.26(1600未満のとき) | - |
3.15以上4.00未満 | ±0.23 | ±0.26 | ±0.28 | ±0.30 |
4.00以上5.00未満 | ±0.26 | ±0.29 | ±0.31 | ±0.32 |
SPFH590Y鋼板の平坦度
鋼板の記号 | 板厚の範囲(mm) | 板の幅(mm) | |||
---|---|---|---|---|---|
1250未満 | 1250以上1600未満 | 1600以上2000未満 | 2000以上 | ||
SPFH590Y | 2.00以上4.00未満 | 22 | - | - | - |
「JIS G 3134 自動車加工性熱間圧延高張力鋼板及び鋼帯」に規定のある材料記号
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