貿易におけるCIPLは最も重要な2つの書類

2024年7月1日更新

CIPLは輸出入等の貿易の世界で使われる場合、Commercial Invoice and Packing Listの4つの頭文字をとった略語で、インボイスとパッキングリストのことを意味しています。実務でCIPLと略すのは、単に文字数が長いためでそれ以外に深い意味はありません。略さずに記載しても何ら問題はありません。

誰が作成するのか

この2つの貿易書類は輸出者が作成するもので、通常は輸送アレンジを依頼するフォワーダ等の輸送業者に提出されます。取引の内容、輸送する品物の梱包の種類やその状態、数量、金額を示す書類になるため、取引している物品に関して最も重要な書類といえます。

Commercial InvoiceとPacking List
書類名称 日本語名 略称 詳細
Commercial Invoice 仕入書兼送り状兼請求書 INV 輸出者が作成。物品名、個数、金額、貿易条件、取引相手、納入場所、通貨単位、支払い条件、原産国といった貿易取引に必要な情報が盛り込まれた書類。売り先に対しては送り状であると同時に請求書も兼ねており、税関に対しては申告書のもとになる最も重要な書類。
Packing List 梱包明細書 PL 輸出者が作成。梱包を外注している場合は重量や容積の計量計算が必要となるので、外注先が代行で作成する場合もある。 上記のインボイスに記載の物品がどのような荷材と単位で梱包されているかを示す。パレット外装に張り付けるケースマークもこの書面に記載。

運送状とあわせると依頼主として問い合わせるべきすべての情報が揃う

   

この2つの書面を輸送業者に渡して正式に輸送を依頼した後、B/Lやwaybillといった運送状(貨物の受取証兼契約書)が発行されますので、ここには実際に積載される船の名称や出港日時が記載されています。

これら3種の書面がセットでそろうと、輸送手段やスケジュール、その貨物がどこにあるのか調べることができますし、輸送・取引内容の詳細が書かれていますので貿易においてトラブルが発生した場合はまずこれらを特定することが始めることになります。

逆に言えば、これらは取引内容のすべてが載っていますので、不用意に取引相手や第三者、競合に開示してしまうと製品の仕入価格や販売価格、輸送業者と契約している輸送費まで見えてしまいます。

貿易書類はそもそも多数の関係者の手に渡りますが、書面を仲介する場合、相手方に伝わってよい情報か今一度確認しておきたいところです。

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