自動車のモデルライフと英語表現

2021年9月27日更新

自動車のモデルライフとは、量産工場でその車両の型式あるいは車型が製造開始されてから、生産されなくなるまでの期間を意味しています。英語ではautomotive model cycleやcar model cycleといわれ、モデルライフは和製英語です。

ポイントは、型式あるいは車型の単位で見る点で、車が固有に持っているブランドの名称でもある「車種」という括りではない点です。型式や車型は車種よりも細かい括りであり、これがモデルとも呼ばれ、量産にてその車の種類を表す最小単位ともなります。同一の車種でもそのモデルが立ち上がってからフルモデルチェンジされるまでの期間をモデルライフと呼ぶことが多いです。なお、フルモデルチェンジも英語ではMajor upgradeと呼び、カタカナをそのまま英語にしてもなかなか通じません。

このフルモデルチェンジの定義はカーメーカーにより違いがありますが、機能や性能の向上を中心に、デザインも一新されることがほとんどのため、内装やボデーとなる外装もがらりと変わります。ただし、エンジンやシャーシなどの車の根幹部分を一から開発するかというと、そうした部分は既存車種からの流用や改良というパターンが採用されることがほとんどです。

あくまで「モデルチェンジ」であって、新しい車種が誕生するというわけではないため、「改良」が主となります。まったく新しい車の開発には大きなコストと時間がかかりますが、モデルチェンジであればより少ないコストで車の販売力向上の起爆剤にすることもできます。したがってこれが定期的に行われるのはマーケティング的な理由となります。ただし、モデルチェンジの種類によっては、開発コストのかかる部分も刷新してしまうこともあります。

車の種類やメーカーの方針にもよりますが、モデルライフはおおむね5年区切りとなりますので、部品を供給するサプライヤー側も特定の車型に対しては5年で量産供給が終わると想定されていることが多いです。ただし近年は部品の共通化も進んでいるので、これが更に延びることも多々あります。

ユーザーの目線で見た場合、モデルライフは車の買い時や売り時を推し量ったり、少し時期を待つことでフルモデルチェンジされた車型を手に入れることができるため、購入時期の指標としても重要ですが、サプライヤー目線で見た場合は、量産供給がいつまで続き、毎年実施となる値引きを量産打ち切りまであとどれくらい行う必要があり、売り上げや収益がどれくらい見込めるかといった点が重要となります。

例えば、部品供給を量産ベースでは5年行い、そのあとは補給品となって15年流動すると仮定した場合、補給品になると採算があわなくなるものも多々あるので、5年のモデルライフの間にどれだけ収益を出せるか、毎年1%ずつ値引きがあったり、材料の値上げ等で原価が上がっていくといった予測も加味してどこまで利益を確保できるかといった点を見ていく必要があります。

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