SK95-CSPの成分、比重、硬度、引張強さ|ばね用冷間圧延鋼帯に規定されたSK95の物性

2013年6月14日更新

SK95、いわゆる旧規格で言うSK4のばね用冷間圧延鋼の規格です。硬度に優れ、耐磨耗性に優れた鋼種といえます。

SK材そのものが温度上昇と共に硬度が低下する特性があるため、高温環境での使用を想定しているのであれば留意する必要があります。

SK95-CSPの特性

SK95-CSPの成分

SK95-CSPの成分
材料記号 C Si Mn P S Cu Ni Cr Ni+Cr V
SK95-CSP 0.90から1.00 0.35以下 0.50以下 0.030以下 0.030以下 0.25以下 0.25以下 0.30以下 - -
SK95-CSPの熱処理記号
A 焼き鈍しをしたもの
R 冷間圧延のままのもの
H 焼入れ焼戻しをしたもの
B オーステンパをしたもの

AとRの場合は、特に指定や取り決めがない場合、表面はブライト仕上げとなります。表記はSK95-CSP A、SK95-CSP Hといった形になります。

SK95-CSPの比重

比重について特に規定はありませんが、成分から概算を算出することはできます。

鉄鋼材料の基本となる比重である7.876を基準に、含有している炭素量の加太から概算を割り出す方法としては、以下の計算式があります。

  • 比重=7.876−0.030×炭素(%)

SK95-CSPの硬度について

硬度の規定のうち、R、H、Bについては、中心値として硬度を指定してもよい範囲を示しています。

硬度の許容差は、施されている熱処理によって異なり、Rについては±20HV、HとBについては±25HVとなっており、いずれも1条内の硬さのばらつきは、30HV以内と定められています。またAについても硬さのばらつきは、30HV以内となっています。

SK95-CSPの硬度、硬さの一覧(熱処理別)
材料記号 硬度(HV)
焼き鈍し(A)
硬度(HV)
冷間圧延のまま(R)
硬度(HV)
焼入焼戻し(H)
硬度(HV)
オーステンパ(B)
SK95-CSP 200以下 230から270 400から600 -

ばね用の冷間圧延鋼帯の標準厚さと許容寸法差

ばね用の冷間圧延鋼帯の標準厚さと許容寸法差(mm)
標準厚さ 厚さ(範囲) 許容差 許容差ET(幅80mm未満)
当事者間で取り決め可能なより厳しい許容差
幅200mm未満 幅200mm以上600mm未満
- 0.10未満 ±0.008 - ±0.006
0.10、0.12 0.10以上0.15未満 ±0.010 - ±0.008
0.15、0.20 0.15以上0.25未満 ±0.015 ±0.020 ±0.010
0.25、0.28、0.30、0.35 0.25以上0.40未満 ±0.020 ±0.025 ±0.015
0.40、0.45、0.50、0.55 0.40以上0.60未満 ±0.025 ±0.030 ±0.020
0.60、0.70、0.80 0.60以上0.90未満 ±0.030 ±0.040 ±0.025
0.90、1.00、1.10 0.90以上1.20未満 ±0.040 ±0.050 ±0.035
1.20、1.40 1.20以上1.60未満 ±0.050 ±0.060 -
1.60、1.80、2.00 1.60以上2.10未満 ±0.055 ±0.070 -
2.20、2.50、2.80 2.10以上3.00未満 ±0.065 ±0.080 -
3.00、3.50、4.00 3.00以上4.00以下 ±0.080 ±0.090 -

ばね用として規格化されている冷間圧延鋼帯の幅の許容差

この範囲外のサイズを持つ鋼帯(厚さが0.25mm未満、厚さ4mmを超える、幅600mm以上などの鋼帯)については、当事者間での取り決めによるため、規格には規定されていません。

ばね用冷間圧延鋼帯の幅の許容差
厚さ
80mm未満 80mm以上200mm未満 200mm以上600mm未満
0.25以上0.60未満 ±0.10 ±0.15 ±0.25
0.60以上1.20未満 ±0.15 ±0.20 ±0.30
1.20以上4.00以下 ±0.20 ±0.25 ±0.40

板の長さの許容差は、2000mm未満のものと2000mm以上4000mm未満の区分でまず分かれています。

長さの許容差
長さ
200mm未満 200mm以上600mm未満
2000mm未満 +5
0
+10
0
2000mm以上4000mm未満 +10
0
+20
0

ばね用冷間圧延鋼帯の横曲がりについて

冷間圧延鋼帯のうち、ばね用のものに固有の規格として横曲がり(反り)のパラメータがあります。長さ1000mmあたりのしなりの最大値を規定したもので、両端については適用除外となります。熱処理(調質)の種類によって鋼材の硬さも変わるため、異なる規格値が適用されます。

横曲がり(反り)の最大値(単位:mm)
調質(熱処理)
5以上10未満 10以上20未満 20以上40未満 40以上80未満 80以上
A(焼鈍し)、R(冷間圧延したまま) - 8 6 3 1
B(オーステンパ) - 5 5 2 1
H(焼入れ焼戻し) 2 2 2 2 1

「JIS G 4802 ばね用冷間圧延鋼帯」に規定のある材料記号

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