鉄線と鋼線の規格|鉄線と鋼線の違い
鉄鋼を原料とする線の規格には、鉄線、鋼線とそれぞれの原料となる線材の規格である3つのカテゴリーが存在します。
鉄線と鋼線は、両者に明確な定義があるわけではありませんが、JISによる規格に照らし合わせると、軟鋼線材をもとにしたものが「鉄線」となり、それ以外のピアノ線材や硬鋼線材などの鋼種を用いた線製品がすべて「鋼線」となっています。このため、一般論としての鉄と鋼の違いとは若干異なる部分もあります。
鉄線は、低炭素鋼の軟鋼を原料としたもので、これにめっきをしたもの、コーティングしたもの、熱処理をしたもの、リブやインデント加工したもの等が規格化されています。軟鋼自体が「鋼」ではないのか、という議論もありますが、鉄線の名称においてはこの点は考慮されません。用途としては、釘や補強用などがメインで、繰り返し力がかかる疲労強度が高いレベルで求められるような用途はほとんどなく、規格内容も、鋼線に比べるとゆるい規定のものが多いです。
鋼線は、炭素鋼線と合金鋼線に大別でき、用途によっても各種の線製品の規格が存在します。弁ばね用やばね用の鋼材についても鋼線が使われており、名称に「鋼線」とかかれていなくとも、鋼で作られている線製品ということもあります(オイルテンパー線やピアノ線等)。用途は、ばねをはじめ、強度が高いレベルで求められるものが多く、鋼線の種類によっては非常に厳しい仕様内容のものもあり、性能が高い分、コスト面でも鉄線よりも高価となります。
鉄線、鋼線ともに素材となる「線材料」の規格が存在します。材料側では主に成分についての規定がなされており、機械的性質などの強度面については、製品規格で規定されていることが多いのが特徴です。
鉄線や鋼線の材料である「線材」の規格
JIS規格番号 | 線材規格の内容 |
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JIS G 3505 | 軟鋼線材 |
JIS G 3506 | 硬鋼線材 |
JIS G 3502 | ピアノ線材 |
JIS G 3507-1 | 冷間圧造用炭素鋼−第1部:線材 |
JIS G 3508-1 | 冷間圧造用ボロン鋼−第1部:線材 |
JIS G 3509-1 | 冷間圧造用合金鋼−第1部 線材 |
JIS G 4308 | ステンレス鋼線材 |
JIS G 4311 | 耐熱鋼棒及び線材 |
JIS G 4316 | 溶接用ステンレス鋼線材 |
鉄線の規格一覧
JIS規格番号 | 線材規格の内容 |
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JIS G 3532 | 鉄線 |
JIS G 3542 | 着色塗装亜鉛めっき鉄線 |
JIS G 3543 | 合成樹脂被覆鉄線 |
JIS G 3544 | 溶融アルミニウムめっき鉄線及び鋼線 |
JIS G 3547 | 亜鉛めっき鉄線 |
JIS G 7302 | 鉄線及び鋼線用亜鉛めっき(ISO仕様) |
JIS G 7303 | フェンス用亜鉛めっき鉄線及び鋼線(ISO仕様) |
鋼線の規格一覧
JIS規格番号 | 線材規格の内容 |
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JIS G 3521 | 硬鋼線 |
JIS G 3536 | PC鋼線及びPC鋼より線 |
JIS G 3538 | PC硬鋼線 |
JIS G 3544 | 溶融アルミニウムめっき鉄線及び鋼線 |
JIS G 3548 | 亜鉛めっき鋼線 |
JIS G 4309 | ステンレス鋼線 |
JIS G 4314 | ばね用ステンレス鋼線 |
JIS G 4315 | 冷間圧造用ステンレス鋼線 |
JIS G 7304 | ばね用鋼線−第1部:一般要求事項(ISO仕様) |
JIS G 7305 | ばね用鋼線−第2部:冷間引抜炭素鋼線(ISO仕様) |
JIS G 7306 | ばね用鋼線−第3部:オイルテンパー線(ISO仕様) |
JIS G 3560 | ばね用オイルテンパー線 |
JIS G 3561 | 弁ばね用オイルテンパー線 |
JIS G 3522 | ピアノ線 |
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