繊維のLOI値の一覧|限界酸素指数からみる最も燃えにくい繊維

2021年1月1日更新

最も燃えにくい繊維を調べるには、LOI値とも呼ばれる限界酸素指数の値が大きいものをみれば一目瞭然です。LOIは、Limiting oxygen indexの英語の略称です。

繊維のLOI値の一覧|限界酸素指数からみる最も燃えにくい繊維|目次
  1. 燃えにくさを示すLOI値とは
  2. 繊維の燃えにくさを示すLOI値(限界酸素指数)の一覧

燃えにくさを示すLOI値とは

LOIとは、酸素と窒素の混合気体の中で(つまり空気中)、燃え続けるのに必要な最少の酸素を示したもので、値が大きいほどより多量の酸素が必要となるため、空気中では燃えにくいということになります。値はパーセンテージで、化学繊維やプラスチック、樹脂、ゴムなどの高分子材料の燃焼のしやすさ、しにくさを見るために使用できます。

LOI値は対象となる素材の周囲の温度によっても変わることが知られています。高温の環境となるほど、必要な酸素の量が少なくなる、すなわち燃えやすくなります。

大気中の酸素量よりもLOI(限界酸素指数)が大きい材料のことを難燃材料とも言います。大気中の酸素比率は20〜21%程度と言われています。一般に、酸素指数が22以下であれば可燃性と言われます。23から27であれば自己消火性をもち、27以上であれば難燃性と言われます。

試験方法はJIS規格では「JIS K 7201 プラスチック−酸素指数による燃焼性の試験方法」(枝番1〜3あり)、ISO 4589やASTM D2863で規定されています。

防火・防炎性能が求められる消防服は言わずもがなですが、通常の衣服だけでなく、難燃性であることは家具やインテリアなどの内装をはじめ、火の燃え広がりを防ぐ重要なファクターです。近年の大規模な火災等も難燃性の素材を使用することで被害を最小に食い止めることができる可能性があります。

工業・産業用途においても、燃えにくいことが材料選定の条件となる用途は枚挙にいとまがありません。こうした際にLOI値は参考になりますが、あくまで燃焼に必要な酸素の割合を示しているため、不活性ガスの中等は対象外となります。

繊維の燃えにくさを示すLOI値(限界酸素指数)の一覧

最も燃えにくい繊維は、不燃性繊維に分類されるものでそもそも空気中で火がつかないため、着炎もしないタイプのものです。炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、アスベスト等がこれに該当しますが、衣服などには単体で使うことができません。

次に難燃性繊維に分類されるものは、不燃性に次いで燃えにくいカテゴリーです。LOI値が27以上が目安となりますが、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリクラール、塩ビ系モダクリル、アセテート、フッ素系繊維などが該当します。有機繊維のなかで最も燃えにくい化学繊維は、PBO繊維となります。

逆にLOI値(限界酸素指数)が22以下のものは可燃性のものとなりますが、この中でも燃焼速度が比較的遅いものと、速いものがあります。すぐに燃えてしまうものは易燃性繊維ともいい、綿やレーヨン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが該当します。

繊維の燃えにくさを示すLOI値(限界酸素指数)の一覧(数字が大きいほうが燃えにくい)
繊維の種類 LOI値(限界酸素指数)
パラ系アラミド繊維 25から29
メタ系アラミド繊維 29から32
ポリアリレート繊維 28
超高強力PVA繊維 19
PBO繊維 68
PPS繊維 34
PEEK繊維 33から34
ポリイミド繊維 36から38
PAN系炭素繊維 燃えない
ピッチ系炭素繊維 燃えない
ガラス繊維 燃えない
ボロン繊維 燃えない
綿 18.4
防炎木綿  34.6
レーヨン 19.7
防炎レーヨン 26.4
アクリル  18.0
防炎アクリル 29.1
トリアセテート 18.4
ジアセテート 18.6
ポリプロピレン 18.6
PVA 19.7
ポリエステル 20.6
モダクリル(アクリル系繊維) 26.8
ナイロン  20.1
ナイロン6 22
17.6
羊毛(ウール) 25.2
ポリクラール 31.7
ポリ塩化ビニル 37.1
塩化ビニリデン 42から50
 

繊維の種類と特徴

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