HSコードの調べ方
HSコード一覧を調べても、目的の物品がどのカテゴリーなのかわからないこともあるかと思います。検索をしても出てこない、というときは、以下の点について再チェックすることをおすすめします。
- 製品としてHSコードの分類があるかどうか調べる。機械類、自動車部品、電気機器など大きなカテゴリーがある場合は、その中から探していく。
- 何かの部品や構成品の場合、完成品を探して、その部分品というHSコードを付与する方法もある。
- 製品としてぴったりくるものがない場合でも、大枠が同じならば、そのカテゴリー内に必ずある「その他」に分類されるHSコードを割り当てる。
- 機能・役割からみた製品分類がない場合は、素材に落とし込んでみていく。鉄鋼でできた何かの部品であれば、鉄鋼製品のカテゴリーといった具合に。
- 用語の言い換えをして検索する。HSコードは、実務上まったく使われていない用語で登録されていることもあります。名称は違うが同じ機能と役割を持つものが何かを考えながら探す。
【参考】実務上使われていない用語で登録されているHSコードの例
物品がどのHSコードに該当するのか見つけることが出来ない場合
まず、その物品を表す「言葉」を複数候補使って検索してみることをおすすめします。業界で使われている一般的な名称や世間一般で使われていない言い方でHSコードとして登録されていることがあります。また、小文字の「っ」はすべて「つ」となりますので、通常の検索ではかからないことがあります。他にも「ゃ」は「や」に置き換わっており、小文字は正式な表記では使われていませんので、小文字の場合とそうではない場合との双方で探す必要があります。また古い表現・用語・辞書的な正確な言葉を使って検索することも試してみるとよいかもしれません。この製品名の「言い換え」のバリエーションをできるだけ多く試してみるとよいと思います。製品そのものがなくとも、それを含むより大きなカテゴリーがあることもありますので、製品を表す名詞がだめなら、それを含むより大きな括りを表すキーワードも試してみるとよいでしょう。
そもそも該当する項目がない場合
あまり貿易取引されることのないものや、全く新しいコンセプトのもの、ある国に固有のものの場合、HSコード自体に登録がない場合があります。この場合、近い製品のコードを選ぶことになりますが、実際の用途というよりは原材料・素材・構成物などで近いものを選ぶほうが見つかりやすいかもしれません。
- 複合材料など、複数のもので構成されていて、完成品(輸出品)の形でHSコードが設定されていない場合は、重量比で、もっとも多くを占めている材料・部材のHSコードを割り当てる。
- 複雑な機械や該当する製品がない場合、それが何をするためのものなのか「役割」と「機能」を見て、HSコードを割り当てる。
- 複数の要素が組み合わさっているが、完成品としてのコードが存在しない場合、もっとも大きな役割を果たしている部分、それがないと完成品としての役割がまったく果たせないような部位のHSコードを割り当てる。
- ユニットのように複数品から構成された部位も、そのユニットのメインとなる機能を持つ要素のHSコードを割り当てていく。
複数のHSコードに該当しそうで判別が付かない場合
会社の業務で輸出を行う場合などは、日頃お世話になっているフォーワーダーや乙仲に、以前に送った際に用いたHSコードを聞いてみるというのがよいかもしれません。ただ、HSコードを知る必要があるのはどちらかといえば、輸出をしたい会社側ではなく、そうした会社から通関業務などを引き受けている会社のほうが多いかもしれません。
あとは市場調査目的や輸出量などから競合や同業の動向を調べたりする場合は、どのHSコードで輸出されているのかという点をかなり調べる必要があります。関税の関係で、意図的にあるHSコードを用いているという場合もあるかもしれませんが、工業製品の場合、特にどのHSコードに該当するのか細目までわからないと統計や調査用途としては用いることが難しいといえます。同業者にそれとなく、海外へ輸出するときに用いるHSコードを聞いてみるとよいかもしれません。専門的な分野の場合、輸出している国名がわかると、あの会社が輸出したこの機械が何台輸出された、というような凡そのあたりがつけられることもあります。
また工業会などに加盟しているのであれば、事務局でこういう製品はどのHSコードなのかたずねると、把握されている場合もあります。
HSコードに登録されている物品は、加工されているかどうかや、特定の含有物の比率などによってもコード(番号)が変わってきますので、どういう条件で変わるのか、6桁分類のHSコード表を良く調べておくとよいでしょう。
税関に相談するという方法
物品をある国に輸出し、日本でつけたHSコードがその国の輸入申告時には違うHSコードとしてまったく違う税率を適用されることがあります。ある物品がどのHSコードなのか、についての最終判断は各国の税関にそれぞれ権限があります。したがって、前述のようなことは割りとよくおきます。
日本の税関も相談窓口を設けており、電話でも回答を受け付けてくれます。HSコードが何かわからないと取引に大きな支障がある場合や、想定していたHSコードと違うものが通関時に割り当てられてしまうと不都合がある場合などは、「事前教示制度」というのものを用いて、あらかじめ税関に書面でその物品がどのHSコードなのかを回答してもらっておくという方法もあります。これは国にもよりますが、書面で事前教示してもらうと、実際の通関のときにもその番号が尊重されるというルールをもつ国が多いため、関税額の減免を受けるFTA協定やEPA協定などを活用する場合や、HSコードによって税率が大きく変わってしまうような物品を輸出するときには利用するとよいでしょう。参考にしたい場合や、単純にHSコードの割り当てに関する考え方を知りたい場合などは電話による口頭相談でよいですが、こちらは回答内容に何ら拘束力がありませんので、あのとき電話でこのHSコードだと聞いた、という主張は通りません。
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