母材コイルとは何か
母材(読み方:ぼざい)とはスリット(切断)する前のコイル材のことを意味します。鋼板をロール状にまるめたものがコイル材ですが、このコイル材が使用者に提供される際にはプレス機や生産する製品の大きさ合わせた幅にカット(スリット)する必要があり、このカットする前のコイル材を母材と言います。
一旦スリットしてしまうと、その製品寸法にしかあわないため、生産量の減少や生産中止といった事態に見舞われた際、同一仕様の鋼材を使っているものがあったとしても、鋼材の転用が容易にできなくなります。
厳密に言えば、転用する予定のものの幅が、転用元よりも小さいものであれば、再スリットといって、さらにコイル材の幅を切って転用することはできます。もちろん、再スリット費用と納期はかかってきますが、重量によっては鋼材を捨てるよりは有効活用ができます。
余った鋼材は転用できないとなると、スクラップにするしかありません。キロ単価いくら、として有価物扱いで売ることはできますが、損失には変わりありません。コイルには油が残っているのでそれらが十分に付着しているうちは錆を防げますが、通常の鋼板は防錆の機能が弱く、長期間の保管には向きませんのでこの点にも注意が必要です。
発注から納入までのタイミングや慣習にもよりますが、一般には、商社側で母材の在庫と、コイルセンター側にスリット済みのコイル材の在庫の二種を保有し、発注があるとスリット済みのコイル材を1週間程度で納入するという方法がとられます。コイル材が減ると母材からスリットして補充し、母材が減れば、ミル(鉄鋼メーカー)へ商社が母材発注をかけるという具合です。
ミルでの母材の生産には時間かかり、時には4カ月以上先の需要を見ながら手配をかけることになります。
製鉄所で母材が仕上がってくる時期のことを母材計上時期といったり、母材UP時期といったりもします。母材UPとは、母材が出来上がることを意味し、母材UPから輸送、コイルセンターでのスリットを経て、納入されるため、その時期がわかればコイル材の納期が試算できることになります。
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