SPHDの機械的性質の規格|板厚、降伏点、比重
SPHDはD材とも呼ばれますが、熱間圧延鋼板(軟鋼板)のうち、絞り用の仕様をもつ鋼板です。一般用のC材に比べて、伸びが大きく、成分についても炭素、硫黄、マンガン、リンのどれも低く設定されています。機械的強度のうち引張強さの下限値は他の熱間鋼板と同様に270MPa以上に設定されていますが、上限値を420MPaとすることもできます。加工性がよいのと引き換えに、SPHCよりも引張強さはさらに弱くなりますが、靱性に優れた鋼板といえます。
SPHDの比重
熱間圧延鋼板であるSPH材はすべて7.85を比重の基本としています。
SPHDの成分
SPHDの成分規定については、炭素、マンガン、リン、硫黄の四元素について上限値がそれぞれ決められています。
鋼板の種類 | C(炭素) | Mn(マンガン) | P(リン) | S(硫黄) |
---|---|---|---|---|
SPHD | 0.10以下 | 0.45以下 | 0.035以下 | 0.035以下 |
SPHDの機械的性質
SPHDの機械的性質のうち、伸びは板厚によって規格値は異なってきます。厚みのあるものほど伸びが大きくなる傾向があります。引張強さは270MPa以上の下限値が共通して設定されていますが、状況によって上限値を定めてもよいことになっています。
鋼板の種類 | 引張強さ(N/mm2) | 伸び(%) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
板厚1.2mm以上1.6mm未満 | 板厚1.6mm以上2.0mm未満 | 板厚2.0mm以上2.5mm未満 | 板厚2.5mm以上3.2mm未満 | 板厚3.2mm以上4.0mm未満 | 板厚4.0mm以上 | ||
SPHD(上限値420に設定可) | 270以上 | 30以上 | 32以上 | 33以上 | 35以上 | 37以上 | 39以上 |
SPHDの板厚
標準の板厚としては下表のものになります。絞り用として規定されているSPHD材で1.2mmから14mmとなっています。
板厚(単位:mm) |
---|
1.2 |
1.4 |
1.6 |
1.8 |
2.0 |
2.3 |
2.5 |
2.6※ |
2.8 |
2.9※ |
3.2 |
3.6 |
4.0 |
4.5 |
5.0 |
5.6 |
6.0 |
7.0 |
8.0 |
9.0 |
10.0 |
11.0 |
12.0 |
12.7 |
13.0 |
14.0 |
SPHDの板厚の許容公差
板の幅に対して、許容される板厚の公差は下記の通り決まっています。
板厚 | 板の幅(mm) | |||
---|---|---|---|---|
1200未満 | 1200以上1500未満 | 1500以上1800未満 | 1800以上2300以下 | |
1.60未満 | ±0.14 | ±0.15 | ±0.16(幅1600未満のときのみ) | − |
1.60以上2.00未満 | ±0.16 | ±0.17 | ±0.18 | ±0.21(幅2000未満のときのみ) |
2.00以上2.50未満 | ±0.17 | ±0.19 | ±0.21 | ±0.25(幅2000未満のときのみ) |
2.50以上3.15未満 | ±0.19 | ±0.21 | ±0.24 | ±0.26 |
3.15以上4.00未満 | ±0.21 | ±0.23 | ±0.26 | ±0.27 |
4.00以上5.00未満 | ±0.24 | ±0.26 | ±0.28 | ±0.29 |
5.00以上6.00未満 | ±0.26 | ±0.28 | ±0.29 | ±0.31 |
6.00以上8.00未満 | ±0.29 | ±0.30 | ±0.31 | ±0.35 |
8.00以上10.0未満 | ±0.32 | ±0.33 | ±0.34 | ±0.40 |
10.0以上12.5未満 | ±0.35 | ±0.36 | ±0.37 | ±0.45 |
12.5以上14.0以下 | ±0.38 | ±0.39 | ±0.40 | ±0.50 |
「JIS G 3131 熱間圧延軟鋼板及び鋼帯」に規定のある鋼板の種類と材料記号
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