外物と内物の違い
外物(読み方:そとぶつ)とは自社から客先への物流のことを言い、内物(読み方:うちぶつ)とは自社の工場間や工場と倉庫間の物流のことを言います。
外物は販管費になりますが、内物は製造原価に入る場合と販管費に入る場合とに分かれます。
何らかの物を製造している場合、部品や材料を仕入れて製造場所に運び入れるのにもコストがかかりますし、製造した仕掛品を別の工場や外注先に加工を委託している場合、その区間で行き来する輸送費もかかります。さらに、完成品となったものを倉庫へ保管し、その倉庫から客先へ出荷する場合はその倉庫までの輸送費や入出庫にかかる費用もコストとしてみなければなりません。
こうした物流費のコスト低減や改善を行う場合、外物と内物ではアプローチが異なってきますので、担当する部署や課が異なることもありますが、同じ部署で行うにしても、一律に検討してもなかなかうまくいきません。
実際、まずはかかっている物流費がどの区間でどれだけなのかを洗い出す必要があり、社内の管理会計、管理損益表などですべてが「物流費」として計上されているのであれば、内訳がわかるように勘定科目や計上部門を区別しておくことが最初のステップとなります。
例えば、仕入先から工場への輸送費を自社が持っているのであれば、その費用を計上する部門のコードや勘定科目の名称を分けてしまいます。その他、客先へ届けるのに必要な輸送区間以外でも、構内運送費、工場間運送、工場倉庫間運送など分かるように名称で区別します。
これによってまずはどこにどれだけの物流費用がかかっているか把握し、削ることができる部分がどこなのかを調査していきます。輸送費のコスト低減は、大きくは以下のアプローチがあります。
- 当該輸送区間の輸送契約自体を安いものにする(トラック業者を変更、車建て⇔個建ての変更、輸送方法を変更(陸送⇔フェリー、鉄道))
- 積載効率を上げて1個当たりのかかる輸送費を下げる(1箱あたりの入り数や充填率を上げていく、トラック等の荷台の積載率が一定以上になるよう輸送便の統廃合、頻度の変更
- 輸送区間の数を減らしたり、総輸送距離を短くするよう倉庫や生産場所の再編を行う
例えば下図のような模式図を作成し、各区間での輸送量や輸送費を出してみるのもひとつの方法です。この図から以下のような検討もできます。
- デポAは客先へ出荷するための専用のデポ(倉庫)である。自社工場Aは客先Aへ直接出荷もしている。自社工場Aからの直接出荷をやめてデポAに統合すると費用が下がらないか。工場内のスペースが空いて生産性も上がらないか。
- デポBの契約をやめて、デポAへ集約できないか。
- デポCは自社工場Cが部材も含め、倉庫代わりに使っている。このデポCからも客先出荷できるようにした場合、デポC→デポB間の構内運送費は低減できないか。
- 自社工場BはデポAを通じて客先へ出荷している。一方、自社工場BとCの間でも物流のやり取りがある。自社工場C経由にしてデポBから客先へ出荷した場合、コストが下がらないか。
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